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新たな国へ

 シュンはふっと笑みを浮かべると、魔王ロニンの頭を撫でてみた。むう……と甘えたような声を出すロニンに、思わずドキリとせずにいられない。


 人間とモンスターの戦争。

 どちらが正しくて、どちらが生き残るべきか。

 そんなことわかるわけがない。たぶん一生答えの出ない問題だ。

 人間もモンスターも等しく生きている。それはまさしく同じ命であり、どちらの生命が重要だーーと比べることはできない。


 ならばこそ。

 シュンはロニンの顎をくいっと持ち上げてみせた。


「つくろうぜ。戦いのない、平和な国を」

「え……」

「わからねえか。ついてきてほしいんだ……その、おまえに」

「そ、それって……」


 告白? プロポーズ? それとも……

 ロニンの頭が本当に暴発し、「はうぅ……」と倒れ込みそうになった。


「おっと」

 シュンはひょいと魔王の身体を持ち上げると、片手で頬を掻いた。

「駄目か? 良い案だと思ったんだがな」

「そ、そうじゃないけど、国をつくるって、いったいどういう……?」

「そのままの意味さ。俺たちで、人間とモンスターが共存する国をつくる。実はテキトーな大陸をすでに見繕ってあってな。さっきまで大陸探しをしてたってわけだ」


 大陸探し……

 ロニンはぽかんと口を開けたまま、なにも言えなかった。

 国作りに最適な土地を探しまわっていたということか。相変わらず無茶苦茶だ。


 だけど。

 それはきっと、引きこもりレベル999の彼にしかできない。

 ーーううん。

 ステータスの強さだけじゃない。優しくて、他人想いのお兄ちゃんだからこそ、ここまでしてくれたんだ。


 彼はさっき、《魔王》の私に愛を表現してくれた。

 私はモンスターなのに。

 絶対に叶わぬ恋だと思っていたのに。

 それでも、彼は……

 ロニンは無意識のうちに、シュンの胸に顔を埋めていた。


「私も大好き……お兄ちゃん」

「おう」


 シュンはそんな魔王を優しく受け止めると、騎士やモンスターたちに向けて大声を張った。


「本日これより、人間とモンスターが共存する国をつくる! こんな馬鹿馬鹿しい戦いはやめて、ついてきたい者は俺についてこい!」

今後の参考にしますので、アンケートにご協力してくださると嬉しいです。

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