表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/263

正解なき戦い

「馬鹿者め……。やすやすと身分を明かして、自分が我々の標的になるとは考えんのか」


 ディストが剣の切っ先をセレスティアに向ける。他のモンスターたちも同じく、セレスティアにターゲットを絞ったようだ。


「ふふ……そうね」

 セレスティアは薄い笑みを浮かべると、片腕を突き出し、戦闘の構えを取った。

「それでも構わない。仲間をこんなに殺したあなたたちを……私は許さない」


「ふん、馬鹿馬鹿しい」

 ディストが鼻で笑った。

「表明もなしに先制攻撃してきたのは人間だろう。なんだ? 人間の死は許せないが、モンスターの死はどうでも良いというのか?」


「…………」


 ーー人間の死は許せないが、人間の死はどうでもいいというのか?

 ーーじゃあ聞くが、皇女サマはモンスター側の心情を考えたことあんのかよ?


 セレスティアの脳裏に、同時に二つの台詞が浮かんだ。

 モンスター。化け物。怪物。

 奴らは問答無用で人間に襲いかかる。モンスターのせいで、家族を、友を、故郷を失った者が大勢いる。セレスティアの持つ孤児たちがそうだ。


 だからモンスターは恐るべき存在で、なにがなんでも殺さなければならないのだと……そう思っていた。


 だけど。

 だけどそれは人間側の勝手な解釈で、モンスター側からしたらどうなのだろう?


 たしかにディストの言う通り、問答無用で戦争を開始したのは人間のほうだ。モンスターから見れば、人間だって……


 などと、考え込みすぎたのが命取りだった。


「せいっ!」


 瞬時にして距離を詰めてきたディストが、目にも止まらぬ速度で剣を振り下ろしてくる。


「あ……」


 あまりにも常識を超えたスピードに、セレスティアは反応することができなかった。ディストの剣がセレスティアの頭部に触れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ