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村人の決意

 ガチャ。


 学生寮のドアノブをまわし、シュンはひとり、寮に戻ってきた。


「…………」

 入寮するときは騒がしかったのに、いまの室内は憎たらしいほどに静かだった。見慣れたベッドや本棚が、無言でシュンを出迎える。


 ーーなんか、私たち、け、結婚したみたい……?


 昨晩のロニンの声が脳裏に蘇る。彼女ならばきっと、一目散にベッドにダイブしていただろう。


「ちっ……」


 舌打ちをし、シュンは制服のままベッドに寝ころんだ。

 なんとも言えぬ気分だった。


《ひとりの時間》がなによりも大好きだったのに。なにも考えずに微睡まどろんでいる時間が至福だったのに。


 なのに……

 ーー嘘だろ、この俺が……


 もう辞めたはずだった。誰かを信じるなんて。誰かを好きになるなんて。


 シュンがまだ幼かった頃、村の住職が経営する学習塾に通ったことがある。学園に行けない子どもたちは、そのような小さな塾で学習するのが習わしだ。


 シュンはいじめられた。誰よりもマイペースな性格だったから。信頼していた友人すらも、シュンを裏切った。

 だから引きこもった。人と関わるのが嫌だったから。そのほうが楽だったから。


 そのときから、誰かを信じ、好きになるのは辞めたはずだった。


 なのに、いつの間に俺は……

 俺は……


 ーーなんのことはない。

 ロニンはいつも俺に感謝していたが、その実、救われたのは俺のほうだ。


 ロニンは俺の人生に彩りをくれたのだ。ずっと引きこもっていたばかりの俺に。


 ーーこんなの、ガラじゃねえのによ。


 シュンは額に手を当て、ひとつの決意を胸に秘めた。

すみません、かなり短いですが、キリが良いのでここまでとします。

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