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魔王を滅する機会

 セレスティアの子どもとの接し方は、一朝一夕で身につけられるものではなかった。


 些細な子どもの相談にも、親身になって耳を傾けている。そのさまはどこか聖母のようだ。

 だからこそ、子どももセレスティアを心から信頼しているように思えた。どんな些細なことでも彼女に報告したくなる。


 そうして女児が遊び場に戻るのを見送ってから、俺は言った。


「手慣れたもんだな」


「うん。もう長いことやってるからね」


 そこでセレスティアは深く椅子に座り込むと、頬杖をつき、明後日の方向を向きながら告げた。


「……あの、魔王討伐の件、考え直してはくれないの?」


「またかよ。何度言ってもおなーー」


「この子らね、モンスターに親も家も奪われたの」


「なに……?」


「ううん、この子らだけじゃない。世界中の人間がモンスターのせいで苦しんでる。この子らは氷山の一角でしかない」


「…………」


「ねえ、あなた、強いんでしょ? お願い……魔王を、倒して」

 

   ★


 皇女セレスティアにとって、モンスターとは憎むべき存在でしかなかった。


 父親がモンスターの脅威に悩まされているから。

 国民がモンスターに苦しめられているから。


 父親とて、凶悪なモンスターたちに手をこまねいていたわけではない。万全に準備を整え、討伐隊を魔王城に派遣した。


 だが魔王は予想以上に強くーーそして残酷だった。

 討伐に向かった数名の騎士を、あろうことか魔王城の屋上に吊し上げたのである。


 それを知った国王やセレスティアは激怒した。モンスターに対し、この上ない怒りを覚えた。


 そんなモンスターに、最近異変が見られているとアルスは言った。

 この機を狙わない手はない。いま奴らを滅さなければ、次なる被害者が出てしまう。


 だからセレスティアはもう一度、シュンに願った。


「いましかないの……お願い、魔王を倒して……」

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