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意外な一面

 ふらふらと王都を歩いていると、ふいに目に止まる施設があった。


 ーー孤児院。

 周囲の家屋とは違い、木造による建物だ。ところどころ古びており、木の黒ずんでいるところが見受けられる。


 ーーこんなところに、孤児院……?

 不思議に思ったシュンは、特になんの理由もなく、古ぼけた扉を叩いた。


「はーい」


 そうして扉を開けた人物を見たとき、シュンは激しくせき込んだ。


「おまえは!」

「あなたは!」


 相手も同じく目を見開く。


「セレスティア!」

「シュンさん!」


   ★


「なんだ、試験にいねぇと思ったら、こんなとこにいたのか」


 薦められるままにリビングの椅子に座りながら、シュンは言った。


「まあ、ね」


 とセレスティアは自身も椅子に座りながら言った。


「私の適正なんて調べるまでもないからね。試験なんかより、ここにいたほうがよっぽど有意義」


「……ただのボンボンじゃなかったってことか」


 いわく、この孤児院そのものも、セレスティアみずからが建設するように命じたらしい。予算の関係でそこまでの資金を投じることはできなかったようだが。


 そして王都周辺を馬車でまわり、地道に孤児を探しまわっていたのだという。


 見れば、キッチンのシンクには子ども用の小さな皿が所狭しと並んでいる。壁には似顔絵と思わしき絵が並んでいた。


 ーーやっぱり見間違いじゃない。ここは疑いようもなく孤児院だ。


「なによ。意外な一面を見たって顔ね」


 セレスティアがむすっとしたように言う。


「まあ、さっきはただの高飛車な女にしか見えなかったからな」


「高飛車……さっきといい、私に向かって、ずいぶんな口ね」


 そのときだった。


 お姉ちゃーん! と。


 ひとりの女児がセレスティアに駆け込んできた。


 ーーあのね、あのね、ミチルくんが意地悪ばっかりするの。

 ーーあら、大変ね。あとでしっかり言っておくから、安心して遊んできなさい。

 ーーうん、ありがとう、お姉ちゃん!

 


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