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モンスターの命

「せいやっ!」

「とるぁっ!」

「うるぁぁぁぁぁあ!」


 男女さまざまなかけ声が、草原内に大きく響き渡った。

 若き新入生たちが、慣れない動作でモンスターに斬りかかっていく。

 攻撃しては反撃され、わずかに吹き飛んでいく。

 それでも生徒たちは血気盛んに立ち上がり、またも攻撃を開始していく。


 勇者の魔法によって、デッドスライムの物理攻撃力は0にされていた。だからたとえ反撃されようが痛くもかゆくもないし、HPも減らない。


 ただし、かといってデッドスライムも単なるカカシではない。

 通常のモンスターのように明確な意志を持っている。

 攻撃されれば避けるし、反撃もする。


 ただし、どんなに抵抗したところで、デッドスライムが生きられる可能性はまったくない。攻撃力が0の状態では、どんなに足掻いても新入生たちにはまったく効かないからだ。


 ーーそう、まさに死ぬことを定められたカカシのような。


 一体、また一体と虫けらのように消えていくデッドスライムを、ロニンは拳を握らせながら眺めていた。


 ーー私は魔王なのに。モンスターを守るはずの王なのに。


 仮にここでロニンが暴れ出せば、シュン以外の者は即座に始末できるだろう。いまのロニンならば、勇者にも負ける気はしない。


 だけど。

 ロニンはわなわなと震えながら、隣のシュンを見上げた。

 彼はロニンの手を握りながら、首を横に振る。


 そんな暴力的な手段に出ても、なんの解決ももたらさらない。さらに対立が深まるだけだ。


 人間側の目的を知るために王都に潜入したい……などと、よく言ったものだ。


 人間の目的など単純明快。

 それはモンスターの速やかなる殲滅せんめつだ。


 そんなことを考えているうちに、新入生がデッドスライムを倒したようだ。これも魔法の一種なのか、死んだスライムは煙となって天に消えていく。


「はい。いまの新入生は判定Dです」


 言いながら、勇者アルスはちらっとこちらを見やった。そしてこほんと咳払いをし、高らかに叫んだ。


「次の新入生を指名します。ーーシュン君、前に出なさい」

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