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胸への熱い視線

「お、お兄ちゃん」


 ロニンが慌ててシュンの隣に並ぶ。


「あ、あの人、王様の娘さんなんでしょ? あんな態度で大丈夫なの?」


「別にいいっての。別に俺は出世とか考えてねぇし」


「え……勿体ない」


「は?」


「お兄ちゃん、絶対に人の上に立つの向いてると思うんだよね。なんかそんな気がする」


「…………」


 こつっ。

 シュンはおもむろにロニンの額を小突いた。


「あいたっ」


「テキトーなこと抜かすな。俺がめんどくせーこと嫌いなのはわかってるだろうよ」


「で……でも、本当に、そう思うんだもん」


 おうおう、魔王になった途端に意味不明なこと言いやがって。

 シュンはぶつぶつ言いながら、足早に会場へと急いだ。



 巨大なホール会場。

 そこが入学式の行われる場所だ。

 すでに大勢の新入生たちが着席しており、かなりの賑やかさを呈している。


「あーっと、俺たちの席はっと……」


 もらっていた書類を確認しながら、シュンは指定席に腰を落ち着かせた。その隣にロニンも座る。


 気づけば、教師たちの列にセレスティアも混じっていた。あそこが彼女の指定席か。さすがは皇女というだけあって、その待遇は一般の学生とは一線を画している。よくよく見れば、セレスティアに頭を下げている教師まで見られる。


 ーーまったく、どいつもこいつも……


 ただし、注目を浴びるという意味では、こちら側も負けてはいなかった。


 シュンは小声で囁いた。


「ロニン、気づいてっか」


「えっ?」


「男たちの視線だよ。だいたいの男がおまえに熱い視線を向けてるぜ」


 その言葉は事実だった。

 いくらエリートといえど、新入生たちは血気盛んな思春期。抜群の容姿とプロポーションを持つロニンに興味を示さないわけがなかった。なかにはあからさまに巨乳を凝視する者もいる。


「は、はぅ……」


 ロニンは萎縮したようにシュンの指を掴む。魔王になってもこういうところは変わらないようだ。


 そのような波乱も交えながら、退屈な入学式は開会された。学園長の言葉、生徒代表としてセレスティアの言葉などが延々と続き……終了した頃には昼過ぎになった。

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