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めんどくさいのは御免です

「で、そのセレスティア様がどんなご用件で?」


 彼女が王族と知ってもなお、シュンの態度は変わらない。

 なにしろ、シュンははるか以前から魔王と親しくしているのだ。いまさら人類の王ーーましてや次期候補くらいでは緊張もしない。


 そんな彼にセレスティアは驚きの顔を浮かべるも、すぐに話を切り出した。


「勇者から聞いたわ。あなた、信じられないくらいお強いんでしょう?」


「勇者……」


 シュンは眉をひそめた。

 ーー勇者アルス。

 ーーあいつの差し金か。ってことはこいつ、ロニンの正体にも気づいてんのか。


 しかしセレスティアはロニンには目もくれず、続けて言葉を発した。


「現在、モンスターの動きに異変が見られています。叩くならいまが好機。あなたにも是非ご協力をお願いしたい」


 ロニンが息を呑んだ。 

 モンスターを叩く……それはつまり、いまにも人間側が魔王城に攻め込んでくるおそれがあるということだ。


 反して、周囲の学生たちはまたもどよめきをあげた。冴えない男に対し、あろうことかセレスティアが直々に魔王討伐を申し出ている。この事実が衝撃的だったのだ。


 シュンは盛大にため息をついた。


「勇者に言ったはずだ。そんなめんどくせーことは興味ねえってな」


「め、めんどくさい……ですって?」


「ああそうだ。悪いかよ」


「協力して魔王を倒すんですよ! そうすればあなたは英雄になれる! 人類はみな救われる!」


「……じゃあ聞くが、皇女サマはモンスター側の心情を考えたことあんのかよ」


「え……」


 セレスティアは凍り付いた。

 モンスターとは邪悪なる存在。人類に滅亡をもたらす悪魔であり、だから問答無用で殺さなければならない。そんなふうに教わってきたから。


「さ、いくぞ」


 セレスティアが黙りこくっているうちに、シュンはロニンの手を引き、入学式の会場へと消えていった。


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