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馬鹿にしてると痛い目に遭うよ

 四天王の中心に無理やり立たされたロニンは、内心で不満を抱きながらも、戦闘の構えを取った。


 いままで、シュンがこの手の嘘をついたことはない。


 だから信じてみることにした。

 まだ出会ったばかりの村人を。


「……ほう、ロニン殿。やる気ですか」


 ローブたちが嘲るような笑い声をあげる。


「いくら魔王様のお子といえど、あなたはまだ未成熟。我々には遠く及びませぬよ」


「あはたは永らく人間の地に居座っていた。だが我々は違う。ずっと鍛錬を積んできた」


「ロニン殿。せめて安らかに死になさいな」


 四天王たちの嘲笑を、ロニンは聞き入れまいと意識の外に追い出した。


 ーーもう私は負けたくない。

 劣等者と言われ続けるのはもう嫌なんだ。


 ドドドドド……と城全体が揺れ始める。


 と同時に、四天王たちの両手が漆黒の輝きを帯びた。

 それは徐々に光度を増し、室内を深淵の闇に包み込む。


 ーー来る!


 四天王の魔法攻撃を予知したロニンは真上に高く跳躍した。


 その刹那、ロニンのいた箇所に、四天王の魔法が炸裂した。

 三体が放った光線が、空を切って激突したのだ。


 ぱっと目を射るような閃光が発生し、一瞬だけ訓練場が目映いばかりの光に包まれる。


 ロニンが元いた箇所には、もうもうと煙が立ちこめていた。一般のモンスターが喰らえば即死は免れない威力であった。


 四天王たちは、ロニンに避けられたことに気づかない。魔法が命中したと思いこみ、攻撃の余韻に浸っている。


 ーーいまだ!

 ロニンは静かに着地すると、鞘から剣を抜き、近くの四天王に襲いかかる。


「なっ……」


 その四天王が目を見開いたときにはすでに遅かった。

 ロニンの振りかぶった刀身が、寸分の狂いもなく四天王の首を捉えたからである。


 さっきまでロニンを嘲笑していた赤ローブは、呆気なく首を飛ばされ、その生命を終えた。


「なんだと……!」

「慌てるな! 次の攻撃を……!」


 恐慌をきたした残りの四天王にも、ロニンは容赦なく切りかかった。


 数秒後、断末魔の悲鳴をあげながら、ニ体の魔術師はその場に崩れた。

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