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引きこもりに危機なんかない

「ふん」


 四天王は鼻を鳴らすと、周囲に転がるモンスターの山を見回した。


 ゾンビ、幽霊型モンスター、巨大昆虫……。

 それらすべてを見渡したあと、四天王はたった一言だけ告げた。


「半端だな」


「……なにがだ」


「貴様の所行すべてがだ。ここのモンスター、みな生きているではないか」


 そう。

 さまざまなモンスターが累々と倒れているが、死者は出ていない。


 ディストにとって、彼らはかつて同じ領土で暮らした仲間なのだ。無慈悲に殺すことなどできなかった。


 それに、今回はモンスターを殲滅することが目的ではない。


 四天王はコー、ホー、とこもった呼吸をしながら、野太い声を発した。


「ロニンロニンと狂ったことを言っておきながら、敵を気絶させるだけに留めている。おかしいとは思わないか」


 ディストは下唇を噛んだ。

 ーーこの獣野郎、見た目に反してなかなかの観察眼だ。


「ディストよ、わかっているぞ。貴様の狙いは別にあるな?」


「……さあ。なんのことだかな」


 あくまでシラを切るディストに、四天王はぴくりと目を細めた。そのまま顔を見上げ、


「ウオオオオオオオッ!」


 と凶暴な咆哮を発する。


「ひいっ!」

「ぎゃああああ!」


 その音圧だけで、周囲のモンスターたちが吹き飛んでいく。


 ディストたちを取り囲んでいたギャラリーは、一転してぴくりとも動かなくなった。


 死んだのか、はたまた気絶しただけか、ディストには判断できなかった。


「この俺にくだらん嘘が通用すると思うなよ! 四天王が一人、このグリズオウ様が貴様を噛み砕いてやる!」


「……へっ」


 この危機的状況にあって、ディストは薄い笑みを浮かべた。


 ーーやっとだ。やっと俺の実力を試すことのできる相手が現れた。

 ロニン様、見ていてください。四天王のひとりなんか、この俺が軽く蹴散らしちゃいますからね。


 ディストはかっと目を見開くと、今日始めて、鞘から剣を抜いた。


「貴様こそ、たかが四天王ごときがこのディスト様に適うと思うなよ!」

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