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引きこもりの無双劇

「な、なんだこいつは!?」


「強い、前よりはるかに強いぞ!」


 ディストの暴れっぷりに、モンスターたちも驚きを隠せない。


「ふはははは! だから言っているだろう! 俺はロニン様のご加護を受けているのだと!」


「い、意味わかんねえんだよ!」


 悪態をつきながら、次々と襲いかかってくるモンスターたち。

 魔王城からも続々とモンスターたちがやってくるが、ディストは華麗なまでに薙ぎ倒していった。


 ーー意味がわからないか。俺もだよ。


 実際、ディスト自身も驚きであった。

 この強さ。この体力。どれを取っても以前とは比べ物にならない。


 そりゃあ元幹部だし、そこらの一般モンスターに負ける気はしない。


 けれど、これだけ多くの敵を相手にするのはさすがに無理だった。体力が持たない。


 にも関わらず、疲労はいっこうに訪れる気がしない。


 まだまだ俺は戦える。その気になれば一人でも奴らを全滅できる。


「グルルルルラアアア!」


 叫び声とともに、ゾンビが襲いかかってくる。知性のかけらもない、ただの体当たりだ。


「よっ!」


 その攻撃が届く前に、ディストはゾンビの額に手刀を浴びせた。ほんの軽く、だ。


「ガッ……」


 たったそれだけで、ゾンビは倒れてしまう。


 おそらく、自分の身になにが起きたかわかっていなかったろう。


 ーー素晴らしい!

 これが引きこもりというものか!


 ディストが悦に浸っていると、ふいに、敵からの攻撃がぴたりとやんだ。


 誰もまったく仕掛けてこない。


「つ、強い……」

「勝てねえよ……」


 どうやら諦めてしまったらしい。ディストを円形に囲んだまま、モンスターたちは身じろぎもしない。


「どうした諦めるのか? 俺はまだピンピンしてるぞ」


「ぐ……」


 それでもモンスターたちは動かない。


 ーーこれで終わり、か。


 陽動作戦はとりあえずの成功を納めたと言っていいだろう。

 城下町には、気絶させられたモンスターたちの体がうずたかく積まれている。


 あとは、こいつらも気絶させて、俺も城のなかへ……


 ディストがそう考えた、その瞬間。


「なにを手間取っている」


 ふいに、地に響くような太い声が聞こえた。


「四天王様!」

「お待ちしておりました!」


 モンスターたちが敬礼して、列の間をあける。


 その隙間に現れたのはーー大柄の獣男。

 全身が黒光りする毛に包まれており、その体躯は見上げんばかりに大きい。


 二つの赤い眼球と鋭い牙。


 奴から発せられる凶暴的な立ち居振る舞いに、ディストとしても寒気を感じずにはいられなかった。


 ーー四天王か。わざわざ城下町に出向いてくるとは……!


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