表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/263

俺たちなら三人でもモンスターたちをぶっ殺せる

「で……でけえな」


 シュンは思わずひとりごちた。


 森林を抜けた先でシュンたちを出迎えたのはーー巨大な魔王城。


 全体が漆黒に塗りたくられており、どこか禍々しさを感じる。いくつか設けられている小窓からは、真紅の光が漏れていた。


「お、おい、なんだよありゃ」


 シュンはとある方向を指さした。

 屋上から死体が吊されているのである。しかも一人や二人だけにとどまらず、数え切れないほどに。


「あ、あれは、だな」


 ディストは気まずそうに視線をそらした。


「魔王城に侵入しようとした人間を、ああして見せしめているのさ。実際、かなりの抑止力になっててな」


「そ……そうか」


 シュンはぼりぼりと後頭部を掻いた。


 思った以上に、人間への嫌悪感は高まっているようだ。

 人間がモンスターを敵視するように、モンスターも人間を嫌っている。そのことを思い知らされた気がした。


 魔王城の手前には荒野が広がっていた。 


 いくつも家屋が屹立しているのは、おそらく一般のモンスターが寝泊まりしているのだろうか。いわゆる城下町のようなものだろう。


「さて」


 ディストは荒野には入らず、ふいに立ち止まった。


「いったんここでお別れだな。互いの作戦が実ることを祈ろう」


「……ああ」


 シュンは小さく頷いてみせた。


 作戦。

 ディストが城下町からモンスターたちを陽動し、敵兵が減ったところで、シュンとロニンが内部から侵入する。


 いかにも単純な作戦だが、これが一番良いだろうとディストが提案したのである。


「いまや俺は《ロニン様のために狂った元幹部》に成り下がってるからな。モンスターの目を引くにはちょうどよかろう」


「……ディスト」


 ロニンが不安そうにディストを見上げる。


「死なないでね。また三人で、ご飯食べたいよ」


「……そうですな。ロニン様もご無事で」


 そう言うなり、ディストはシュンに目を向けた。


「人間なぞにロニン様を任せるのは口惜しいが……もはや頼れるのはおまえしかいない。頼んだぞーーシュン」


「おうよ」


 二人の男たちは拳をガツンとぶつけ合った。


 ーーそして。

 三人の《引きこもり軍団》による魔王城侵略は幕を切った。


「おおおおおおおおおおっ!」


 ディストが嘘の泣き顔をつくり、城下町に突進していく。


「よくも! よくも俺のロニン様をーーーーッ! 許せん! 貴様ら全員、ロニン様の名にかけて処罰してくれよう!」


 その奇っ怪きわまる演技にーーいや、演技じゃないのかもしれないがーーモンスターたちの注目がいっせいに集まった。


「な、なんだ!?」

「ディスト元幹部だ! 差し押さえろ!」


「ロニン様の加護を受けた俺を、簡単に倒せると思うなよぉぉぉぉ!」


 それを遠くから見ていたシュンが、呆れ顔でつぶやく。


「……なんだあいつ、演技が板についてんな」


「う、うん」


 ロニンも若干引いてしまったようである。


「ま、そのぶん時間も稼げるだろ。俺たちもいこうぜ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ