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小難しい話はナシだ


 魔王城へはなんの苦難もなく到着した。


 なにしろロニンもディストもいる。一般の人間では知り得ないような抜け道を通り、ものの数時間でたどりついた。


 もちろん、三人のすさまじい《俊敏性》の恩恵も大きいが。


 かくして、三人はいま、もの寂しい森林にただずんでいた。


 すべての樹木が天を貫かんばかりに巨大である。紫色の空を見上げても、木の天辺は窺えない。


 いずこからか、鳥の不気味な声も聞こえてくる。ロニンやディストにとっては慣れた土地だろうが、シュンにとっては気持ちの悪い場所でしかなかった。


「……なんか、やな場所だな」


 大量の落ち葉の上を歩きながら、シュンは呟いた。サクサクという小気味の良い音が響きわたる。


「……私が《人間の世界っていいね》って言ったの、これでわかったでしょ?」


 隣のロニンが真顔で言う。


「モンスターだって、できることならもっと良いとこに住みたいよ。だけど……」


 そこでロニンは言葉を区切り、うつむいた。


 人間とモンスターの闘争が続いて久しいが、情勢は確実に人間側に傾きつつある。


 その功績の多くが勇者アルスによるものだ。


 領土を人間に奪われ続け、ついに魔王城周辺だけがモンスター安住の地になってしまった。


 だからこそ、モンスターたちはいまピリピリしているのだ。逼迫ひっぱくしている現状で、強者でない者に魔王を任せるわけにはいかないと。


 暗い気分になりかけたロニンの肩を、シュンはぽんと叩いた。


「まあ、いまは小難しい話はナシだ。とりあえず、魔王たちを見返すことを考えようぜ」


「う、うん……」


 だけど。

 ロニンはどうしても懸念せずにはいられない。


 もし私の実力が認められたとして、あなたはどうするの。


 魔王城のなかに入った後じゃ、きっと誰も逃がしてくれない。


 特にいまは、人間への嫌悪感が高まっているというのに。


 それを告げようとしたが、シュンの場違いな明るさに負け、結局なにも言えなかった。

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