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そりゃロニンに魔王は務まらないよな

 さて。

 これからどうするか。


 ディストを背負いながら、シュンは今後のことに思いを馳せた。


 二人を会わせた末、ロニンはどんな決断をするか。


 二人で魔王城へと戻るのか。自身の住居に戻るのか。

 すこし寂しい気持ちもあるが、それが一番良いだろう。


 もともと、シュンとロニンがくっついていること自体がおかしい。


 特に、村人たちがロニンの正体に気づくと相当まずいことになる。


 そうなる前に、元の生活に戻るのが一番だと思う。


 ーーやれやれ、俺もお人好しになったもんだな……

 うっすらとした笑みを浮かべつつ、シュンが故郷に向けて歩いていると。


「……村人よ」


 唐突に、背中のディストが話しかけてきた。


「貴様はロニン様のことをどこまで知っている?」


「ん? んー、コッペパンが好きなことしか知らねえな」


「コッペパン? なんだそれは」


 ディストは不愉快そうに顔を歪めると、さっさと話題を戻した。


「……ロニン様は魔王様のお子だ。もちろん、時期魔王はロニン様が継ぐことになる」


「……なんだ、そんなことかよ」


「話を最後まで聞け」


 ディストはまたも不快そうな声を発すると、話を続けた。


「しかしモンスター幹部たちはそうは考えておらん。奴らは自分の子を時期魔王にしようと必死なのだ。みずからの地位を上げるためにな」


 シュンはため息をついた。

 よくあるお偉いさんの話か。モンスターでもそんな内部争いがあるんだな。


「そんななかで、ひとり有力候補がいてな。そいつは強い。ロニン様よりもずっとな」


「……へぇ」


 ディストいわく。


 モンスターの世界は弱肉強食。

 強い者が頂点に立つ世界。


 なのに、その有力候補よりもロニンが時期の魔王になるーー

 このことに異を唱える者が多数いるらしい。


 魔王自身も、ろくに戦うこともできない娘に嫌気が差してきた節がある。


 いまや、モンスターたちの支持はその有力候補に傾いているという。


「まあ、そりゃそうだろうよ。あのおてんば娘に王が務まるとは思えないぜ?」


「村人よ。これは笑い事ではない」


 そして次の瞬間、ディストは驚愕の発言をした。


「いまやロニン様の敵は人間だけではない。あの魔王様すらも、ロニン様の敵なのだ」


「なに……?」


「王族は利権の塊だ。ロニン様の派閥と、有力候補の派閥。そのせいで内部争いが耐えない。魔王はいまも心の休まらない生活をしている。だから……勇者に、殺してもらおうとしたのさ」


「…………」


 シュンはなにも答えられなかった。

 たしかに、思い当たる節がないこともない。


 たとえば、先の勇者との戦い。

 魔王はロニンが殺されないために策を講じていたらしいが、それはあまりにガバガバだった。実際にも、ロニンは勇者によって殺されかけていたのだから。


 それだけではない。

 本当に娘を殺されたくないならば、有能な部下に手助けでもさせてやればいいのだ。


 なぜそうしなかったのか。

 それはディストの言う通り、戦死に見せかけたかったのだろう。


 王たる者が、堂々と子殺しするわけにはいかない。

 だから一番穏当な、戦死を狙ったのだと。


 ディストは続けた。


「だから俺は……魔王の手が及ぶ前に、ロニン様を保護したかった。そうする以外に手がなかった」


 つまり、ディストの襲撃は魔王の命令によるものではなく。

 ロニンを守るためだけに、独断で、村に訪れようとしただけだったと。


「村人よ。貴様がもし本当に心ある者ならば……お願いしたい。ロニン様を……モンスターの手から、守ってくれ……」

話の方向が変わりましたが、いかがでしたか?

よろしければ感想お待ちしております。

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