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一回戦 3

 攻防一体。まさしくその通りだ。

 ウォーター・ベール。


 あれをただの水と侮ってはならない。魔法攻撃力により、極限まで殺傷力が高められている。とめどない水流に巻き込まれたが最後、すっぽりとHPが削られてしまうだろう。


 トルフィンは小さく舌打ちをかました。

 できればこちらから剣の攻撃を仕掛けたかった。魔法の撃ち合いになれば、相手のほうが経験豊富な分、どうしてもこちらが不利になる。


 レクスがウォーター・ベールを張ったことで、トルフィンから剣撃を浴びせることはできなくなった。相手もそれを見越して水の壁を発動させたのだろう。


 さすがセレスティアの護衛を勤めているだけのことはある。予選の連中とは明らかに一線を画している。


 だが――

 トルフィンはさっと右腕を突き出すと、魔法の構えを取った。剣が無理ならこちらで対抗するまでだ。


「ほう……?」

 レクスがぴくりと眉を動かした。

「魔法で私と戦う気ですか。面白い……」


 トルフィンの魔法の経験は浅い。たまにレイア先生に指導してもらっていただけに過ぎない。魔術の力で王族を守り抜いてきたレクスとは、住む世界が違う。

 でも、それだけじゃない。トルフィンには、他の者にはない力がある――


「はっ!」


 トルフィンの片手から、一筋のいかずちが放たれた。目映いばかりの閃光が迸ったあと、遅れてゴォン! という轟音が発生する。


「なっ……、この威力はッ……!」

 レクスが目を見開いて退散しようとするも、間に合わなかった。


 白雷が勢いよくウォーター・ベールに直撃する。

 長年魔法の鍛錬を積んできたレクスだが、トルフィンには適わない要素がひとつ存在した。

 それはステータスの差。

 地道にコツコツ練習するよりも、引きこもって効率的にレベルアップしたほうが強くなる。

 トルフィンからしてみれば不条理きわまりないが、それがこの世界の不文律。


 シュウウ……と煙をのぼらせながら、レクスの周囲から水の壁が消え失せる。


 ――いまだ!

 トルフィンは猛然と対戦者に向けて疾駆しっくした。その勢いのまま抜刀し、レクスの胴体を切り裂く。


「しまっ……!」

 両手を突き出し、レクスが慌てて反撃しようとする。

 だが、この隙を逃すトルフィンではなかった。

 トルフィンは気合いの発声とともに、次々と斬撃を放っていく。

 懐に入ってしまえばもうこちらのものだった。

 トドメに放った一撃によって、レクスは場外に吹き飛んでいった。


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