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またエッチシーンフラグ

 武術大会の上位八名だけが宿泊を許される場所。

 それは他でもない、王都の王城であった。記念すべき初の共同きょうどう武術大会に、セレスティアはかなり力を入れてくれている。


「これはこれは……懐かしい……」

 シュン一行が王城に入ると、ゴルムは開口一番、そう呟いた。

 彼にしてみれば、五年前までずっと働いてきた場所なのだ。感慨が湧いてくるのも当然かもしれない。


 彼だけではない。シュンやロニンまでが、この城にはなんらかの思い出があるようだ。しばし懐かしそうに、豪華絢爛な王城を見渡していた。


 が、当のトルフィンだけはなんの思い出もない。ぼーっと立ち尽くしている大人たちにそろそろ苦言を呈しようとしたとき、ふいに、声をかけてくる人物がいた。


「あら、待ってたわよ」

 彼女には見覚えがあった。王女セレスティアである。返事したのはこちらも国王――シュンだった。

「おうセレスティア。迎えにきてくれたか」

「他国の王を尊重するのは当たり前でしょ。どこぞの前王とは違うんだから」

「……そうか。ま、ありがとな」


 見れば、数十人もの騎士たちが、列をなしてシュンたちを歓迎している。


「護衛か。こんなもん、俺たちにゃいらねえだろ」

「そうだけど。一応、形だけでもやっとかないとね」

「はっ。こういうとこが王サマのめんどくせーとこだよな」

「……そんなことより、泊まりにきたんでしょ? 客室に案内するから、ついてきて」

「王女様じきじきに案内かよ。こりゃ嬉しいね」

「だって……久々に会えたし……」


 若干赤くなるセレスティアだが、間髪いれずに、

「さ、いこいこ」

 とロニンが歩き出した。さすがはシュンの嫁だけあって、女の感情には敏感らしい。


 そうしてトルフィンも歩きだそうとしたとき、ふいに、服の裾を捕まれた。振り返ると、リュアが恥ずかしそうにうつむいている。


「……どうした?」

「ごめんトルフィンくん。また……眠くなっちゃった」

「マジかよ……」


 まだ飯も食べていないというのに、就寝には早すぎる。六歳児の彼女にとって、連戦は身体に応えたのだろう。


 ちらりとロニンに目を向けると、彼女はこくりと小さく頷いた。シュンとゴルムに至ってはニヤニヤ笑いを浮かべている。


「眠いの? じゃあ先に寝る?」

 気遣ってくるセレスティアに、トルフィンは

「二人用の寝室までお願いします」

 とだけ言った。


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