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国王からの頼み

「あれ?」

 シュンを出迎えたロニンは、来客たちの姿を見て一瞬だけきょとんとしたが、すぐに笑顔を浮かべた。

「珍しい……。お兄ちゃんが人を連れてくるなんて……」


「なに言ってんだおまえ」

 あきれたように肩をすくめる国王。

「んなことより、どうだ、メシはできてっか」


「うん。もうすぐメイドさんたちが持ってきてくれると思う」

 シュンは頷くと、来客たちに身体を向けた。

「そういうことだから、もうちょい待っててくれ。好きなところに座っていい」


 普段はシュン一家が団欒だんらんする広大なリビングルーム。三人家族ではあるが、見栄を張って巨大なダイニングテーブルを用意してある。リュアとレイアが座ってもなお、椅子が余ってしまうほどに。


 リュアはどこに腰を下ろせばいいか迷っていたようだった。

 だが、トルフィンが適当な席に座るのを見かけるや、

「隣、いい……?」

 とおそるおそる聞いてくる。

「お、おう。わざわざ許可取る必要なんかねえだろ」

「だって。王様の家なんて初めてだし、緊張しちゃって……」


 ――そうなのか。

 騎士長の娘だから何かしらの用事で来ていそうなものだが、初めてということなら無理もない。


 そんな二人のようすを、ロニンは微笑ましそうに見つめていた。ちなみに彼女は、シュンの隣に座ろうとしたレイアをさりげなくブロックしている。レイアは仕方ないとばかりに、むくれた様子でロニンの隣に座っている。


 女って怖い――

 そんなことを考えているうちに、メイドたちが料理を持ってきた。


 トルフィン一家には食べ慣れた食事だが、来客たちはいたく感動したようだ。彼女たちは別に貧困しているわけではないが、やはり王族ほど豪華な食事を毎日食べているわけではない。ことにリュアは、一品一品を口に運ぶたび、「んー」と黄色い声をあげていた。


 そうして皆がひとしきり夕飯を堪能したあと、シュンがおもむろに話を切りだした。

「リュア。たしか武術大会に出るんだっけか」

「えっ? あ、はい」

「口。クリームついってっぞ」

「あ、あっあっ、ごめんなさい」


 慌てて口を拭き取りながら、リュアは緊張した面持ちで答える。

 そんな幼女にシュンは苦笑すると、再び表情を引き締めて言った。


「ゴルムの娘さんだし、実力はたしかだと思うが……。この大会が終わっても、修行は欠かさないでほしい」

「は、はあ……」


 首をかしげるリュア。

 代わりに返答したのはレイア先生だった。


「国王様。唐突に大会を開かれたのは、やはり理由がおありなのですか?」

「ん……まあな」

「私たち一般国民には言えないこと……なんですね」

「言えないわけじゃない。ただ、確証もないのに国民を混乱させるわけにもいかねえからな」


 そこでシュンはわずらわしそうに後頭部を掻いた。


「レイア。おまえも出来る限り、生徒たちを鍛えてほしい。無理にとは言わないが」

「いえ。私はシュン様に忠誠を誓った身。ご用命とあれば、喜んで従いますよ」

「……そうか。感謝する」

「シュン様は世界に平和をもたらしたのです。これくらいは当然なのですよ」


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