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二人ではぁはぁ(他意はない)

 レイアは良い先生だった。

 教え方がうまい。

 女王セレスティアが王都から凄腕教師を探し回ったのだから、それも当たり前か。トルフィンはちょっとだけ彼女を見直していた。

 しかも美人だし、おっぱいもでかい。好きな人はほんと好きだろうな。こういう人。


「ほら、ちゃんと魔力の流れを感じて! 余計なことを考えちゃ駄目よ!」

「は、はい!」

 腰に手を当て、おっぱいを揺らしながら声を張るレイア先生。


 レイアが言うには、魔力――すなわちMPは身体中にずっと滞在しているものらしい。それを必要なエネルギー量だけ《取り出して》、外部に放出する。これが魔法の仕組みらしい。


 のだが、どうにもうまくいかない。体内の魔力をどうにも動かしづらいのだ。

 わかりやすく言えば、体内の血液を意図的に動かせと言われているようなもんだ。無理である。


 奇跡的に成功したとしても、ドピュと弱々しく水が出るだけ。実戦にはとても使えない。

 前世には魔法なんてなかったからな。こればかりは《転生者》というアドバンテージは効かない。


 そうこうしている間にも、剣を持ったリュアが走り寄ってくる。トルフィンは魔法の修行を受けながらも、リュアに剣の稽古もしているのだ。


 同時に稽古。

 効率が悪いんじゃないかと思ったが、レイアはこれでいいと言う。


 どの道、実戦では動きまわる敵と戦わなければならないのだ。いま魔法を使いこなせなければ、大会では使い物にならない。じっくり丁寧に教わっている時間はないのだ。


 ――剣と魔法の両刀。

 シュンやロニンはこれを当たり前のようにやっているのだ。

 こればっかりは素直に尊敬する。彼らが強者として称えられる理由がよくわかった。


「うおりゃ!」

 トルフィンがやっとこさ発した炎の放射を、

「えいっ」

 リュアは軽々と避ける。

 大きさもスピードもてんでなっていない。だから避けられた。


「せいやぁぁぁぁぁあ!」

 そのまま、リュアは容赦なく剣を振り払ってくる。間一髪、トルフィンは刀身でそれを受けきった。ガキン、と金属のぶつかり合う音が周囲に響きわたる。

「おまえは素直だな。攻撃の軌道が丸見えだぜ」

「む、むぅ……! そ、そんなことないもん!」


 なおもリュアは剣戟を浴びせてくるが、トルフィンは赤子の手をひねるようにすべて防いだ。

 はぁはぁと息切れしながら、リュアは半笑いを浮かべた。

「ト、トルフィンくん、強い……!」

「そ、そんなこたぁ、ね、ねぇよ……」


 対するトルフィンも呼吸が苦しい。剣と魔法を同時に使うのは、いまのトルフィンにはかなりの集中力を要する。


 二人ではぁはぁ言っていると、拍手しながらレイアが歩み寄ってきた。

「すごいねトルフィンくん。初日でよく炎の放射なんて出せたよ」

「す、すごいんですかこれ……」

「うんうん。君、やっぱり才能あるかもね。あんなに魔法を使っても、MPは切れないみたいだし」

 そりゃ、《引きこもり》のおかげでステータスだけは恵まれているからな。

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