表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
169/263

魔法使いって誰でも憧れるよね


「えー、おまえ出場するのー?」

 といきなり会話に入ってきたのは、男のクラスメイトだった。名は覚えていない。

 クラスメイトはリュアに対して話しかけたようだ。さすがに王子トルフィンに《おまえ》とは言えまい。


 ――それにしても、一瞬にして距離を詰めてくるあたりは、さすがは小さいガキんちょってとこか。


 トルフィンがくだらないことに感心していると、リュアは眉を八の字にした。

「うん。この機会にもっと強くなっておきなさいって……お父さんが……」

「へっ。女が優勝できるかよ。ぜってーボコボコにされるぜ」

「う、うぅ……」


 リュアが救いの目を向けてくる。

 ――やれやれ。

 トルフィンは内心ため息をついて言った。


「そういうおまえは参加するのか?」

「んお? ま、まあな」

「そうかい」


 なら、憂さ晴らしは大会のときでいいだろう。たぶんトルフィンと戦う前に、対戦者にケチョンケチョンにされるだろうが。


「はーい、みんな席に着いてー」

 そんなことを話しているうちにレイア先生が登場し、朝のホームルームが始まった。


 今日の授業では、ステータスに関してさらに多くの知識を得ることになった。


 まず、物理攻撃力や魔法攻撃力は、攻撃を繰り返すことによってごくわずかにステータスが伸びていくという。たとえば魔法攻撃力であれば、連発することによって攻撃力も増していくわけだ。ただ、それはほぼオマケのようなもので、あまり伸び幅は期待できない。


 防御力も同様に、攻撃を受けることで数値も高まっていくようだ。


 ステータスを効率的に高めるのであれば、やはり《職業》に応じた働きをすることが一番なのだという。ちなみに、ほぼ多くの生徒は現在、《学生》という職らしい。こちらはあまり成長が見込めないようだ。


 ちなみにトルフィンの職業は《引きこもり》、リュアは《剣士》だ。二人とも入学する前にそれらジョブの条件を満たしてしまったので、学生ではなく各職業におさまっている。


 それら座学を行って、今日の授業は終了した。本当は魔法の実践授業を受けたいのだが、それはまだ先のことらしい。


 夕日の目映い光が窓から差し込んでいる。生徒たちが黄色い声をあげて帰途についていく。

 トルフィンも教科書を鞄に詰め込み、帰る準備をしていたのだが。

「あ、あの、トルフィンくん」

「ん?」

 隣のリュアに話しかけられた。


「こ、これから時間あるかな?」

「おう」

「そ、それなら、剣の稽古お願いしていいかな……? 大会に向けて、鍛えておきたいから……」


 ――マジか。

 学校の時間以外は、できれば引きこもっていたいんだが。

 だが、仕方ない。シュン国王が言うには、今後、《悪魔》とかいう勢力が攻めてこないとも限らない――らしい。

 自分だけ鍛えても、リュアたち一般人が死んだら世話がない。


 仕方ない。相手してやるかな……

 そう決心し、トルフィンが頷きかけたとき。


「お、二人はこれからデートかなぁ?」

 ニヤニヤ顔で近寄ってくるレイア先生。

「違いますよ。てか先生、授業で俺を推すのやめてください」

「いいじゃないのん。王子様なんだから」

「……意味がわかりません」


 レイア先生はそこでふふっと笑うと、やや表情を引き締めた。


「トルフィンくん、あなた、魔法を勉強したがってたわね?」

「……ええ、そうですが……」

「それなら、いまから特別に教えてあげるわ。剣と魔法を同時に使って、演習するわよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ