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作られた世界?

 ゲーム。

 もはやそうとしか言いようがない。


 そもそも、攻撃力や防御力など、そう単純に数値化できるものではないはずだ。人間、調子の良いときもあれば悪いときもある。(モンスターはどうか知らないが)


 そんな人間の単純な生理を、このステータスというシステムは完全に無視する。まさにゲームでしかありえない、作られた世界。


 不思議に思わないのだろうか。この世界の住人は。


 国王シュンも、そして人界の王セレスティアも、このことに疑問を抱いている様子はなかった。この世界に生まれ育った者にとっては、ステータスとはまさに当然の産物ということか。

 違和感がある。なにもかもに。


「はい。このお話で、なにかわからないことがある人ー?」


 レイアが笑顔で生徒たちに語りかける。

 はい、はい! と生徒たちが次々と手を挙げていく。レイアはうちひとりを指名した。


「剣士になるにはどうしたらいいですか!」

「んー、そうね。いっぱい戦って、いっぱい人を守ること! だから強くならなくちゃ駄目よ?」

「はーい!」

「次、なにか質問ある人ー」

「あ、あの、お姫様になりたいんですけど、ど、どうしたらいいですか?」

「簡単ね。王子様と結婚すればいいの。たとえば、トルフィンくんとかね」


 ――おいおい。

 レイアが余計なことを言ってくれたおかげで、クラスの女子たちが一斉にトルフィンに視線を向けた。そのうち数名、ガチでトルフィンを狙っている目をしている。


 隣のリュアが、萎縮したように身を縮ませた。

「は、はうぅ。トルフィンくん、モテモテ……」

「ちっげーよ。これのどこがモテモテだ」


 トルフィンはため息をつくと、静かに手を挙げた。


「はいトルフィンくん、質問どうぞ!」

「はい。なぜそのような《ステータス》というシステムがあるのですか?」

「えっ……」


 予想外の質問にレイアは目を丸くする。さっきまで騒がしかった教室も一瞬で静かになった。

 だがレイアとて一流の教師、不意打ちにもしっかりと返答する。


「一説には、神様がそうとわかりやすいように作られたと語られています。ですがまだ研究が途上なため、真相は未解明です」

「つまりわからないと。……誰も答えに行き着いていない。そういうことですね?」

「ええ。ごめん、ちょっと難しい言葉を使っちゃったかしら」

「とんでもありません。よくわかりましたよ」

「……驚いたわ。さすがはシュン様のご子息」

「へ?」

「な、なんでもありません。さあ、授業を続けますよ」

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