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親子にわたるハーレムフラグ

 入学式は順調に進んだ。

 生徒の名前読み上げ。

 学長シュンの挨拶。

 そして教師陣の挨拶。


 このまま何事もなく、閉会まで進むのだと誰もが思った。シュンとしても、「入学式くらいやっておきなさい」とセレスティアから助言されたから出席しているだけだ。こんな面倒くさい式など、自分から積極的に開こうとは思わない。だから正直、早く帰りたい。


 のだが。

 閉会も目前に迫った頃、思わぬトラブルが発生した。


「私は、国王シュン様の大ファンです!」


 こう声を張り上げたのは、魔術担当の女性教師・レイアである。

 教師陣が簡単な挨拶を済ましていくなか、ひとりだけ、熱狂的な演説を始めてしまったのだ。


「な……に言ってんだあいつは……!」


 シュンは目を見開き、壇上のレイアを睨みつける。

 しかし彼女はなにを勘違いしてか、にっこりとシュンに微笑みかけると、そのまま演説ぶった口調で語り始める。


「あなたたちはもう、当たり前のように人間とモンスターを交えて遊んでいますよね。でもこれ、実はすっごく最近のことなんです。シュン国王様がいなければ、あなたたちは大事な友達と巡り会えなかったのです」


 呆気に取られるシュンと、大真面目に静聴する生徒たち。そしてロニンの冷ややかな顔。セレスティアのむすっとした顔。

 シュン周辺の女たちが見えないバトルを繰り広げるなか、空気の読めないレイアは演説を続ける。


「私は、シュン国王は歴史に残る素晴らしい人物だと思います。そんなお方が、いま、校長として学校を立ち上げてくれた。入学できたみなさんはとても幸運です。さあ、このチャンスを逃さず、私と一緒にお勉強を頑張っていきましょう!」


 ――これは、うん、あれだ。

 見た目は真面目そうな女なのだが、中身はかなり残念らしい。空気が読めなすぎる。

 生徒たちの拍手を聞きながら、シュンはふと、あることに思い至った。


 トルフィンの担当教師、誰だっけ……?


   ★


 ――よりによって、こいつが担任か。


 トルフィンは絶望していた。

 入学式を終え、新クラスでのレクリエーション。

 リュアと同じクラスになれたのは僥倖ぎょうこうだった……のだが。


 よりにもよって、こいつが担任になるとは。

 教室の教壇で、にこやかに挨拶するレイアを見ながら、トルフィンはひとり、ため息をついた。

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