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二人で遊ぶ(意味深

 ――まったく信じられない。

 視線を落としながら、トルフィンはそんなことを考えていた。


 リュアの父親――ゴルムは豪傑を地でいく男だ。考えるより先に身体を動かしそうな、いかにも体育会系の野郎である。そんな親から、まさかこんな美幼女が生まれるとは。


 人生ってわからない。


 遠慮しつつ視線を上向けると、同じくリュアもこちらに目を向けているところだった。またしても、二人して顔をそらす。


 ――決めた。

 俺のウハウハのハーレム学園生活。

 そのために、まずリュアと仲良くなる。前世の俺がやったら通報事案だが、転生したおかげでその心配はない。しかもいまの俺は王子だ。


 女性恐怖症がなんだ。前世の分を含めれば、俺のほうが十六も年上なんだ。ここはリードするのが男ってもんだ。年上としてな。


 トルフィンはロニン母に顔を向けた。


「は、母上。ひとつお願いが」

「ん? どうしたの?」

「リュアちゃんと二人で遊んできていいですか? 同い年の友達なんて初めてですから……」

「別にいいけれど……。もうすぐ入学式よ?」

「大丈夫です。会場の場所はわかっってますから」

「そう……まあ、あなたのことだから大丈夫かな。なにかあったらすぐ飛んでくからね」


 ロニンの言う《飛ぶ》とは、魔法のワープのことである。魔王たるロニンは、たとえトラブルが発生しても一瞬にしてトルフィンのもとへ転移することができるわけだ。


 ロニンはちらりとゴルムを見やった。


「うちの息子はこう言ってますが……大丈夫ですか?」

「はっはっは。拒否する理由などないではありませんか」


 大きな体躯をわさわさと揺らす騎士長。

 トルフィンはなんとなく直感した。

 この男もあれだ。結婚する前はかなりのプレイボーイだったんだろう。だから理解している。トルフィンの意図を。それでいて彼の要望を許可している。


 トルフィンは極力テンパらないよう意識しながら、リュアに手を差し伸べた。


「と、いうことだけど……入学式の前に二人で遊ばない?」


 二人で遊ぶ。

 大人になると汚く聞こえるが、もちろん他意はない。


 リュアはしばらく逡巡しゅんじゅんしていたが、トルフィンが努力して笑みを浮かべると、小さく頷き、その手を取った。

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