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年下にテンパっちまうなんて

「それはそうと」

 首を傾げながら、ロニンはゴルムに問いかけた。

「ゴルムさん、何故あなたがここに?」


 その疑問は最もだった。

 ここはシュロン学園。騎士のトップが油を売るには不自然な場所だ。それとも《剣の指導者》として、学園の教師も兼任するつもりなのか。


 しかし続いてゴルムが発した言葉は、そんなトルフィンの予想を鮮やかに裏切るものだった。


「これは失礼を申した。実は私の娘も今年で六歳になりまして。晴れてこの学園に入学することになったのですよ」


 ――娘?

 トルフィンがぽかんと口を開けていると、

「ほれ、王子様がいらっしゃるぞ。おまえも挨拶なさい」

 ゴルムに促されて、彼の背中からひとりの幼女が姿を現した。


 美しい。

 あまりに美しい女の子がそこにいた。

 桃色の髪の毛を肩のあたりまで下げているさまは、どこからどう見ても愛おしい。ぷくっと丸っこいピンクの瞳も愛嬌的だ。肌も透き通るように白い。

 臆病な性格なのか、幼女はひょっこり顔だけを出し、トルフィンと目が合うと慌てて姿を隠した。


 ――やべ。ありえない。超可愛い。

 トルフィンのロリコンレーダーが盛んに反応する。シュロン国にこれほどの美幼女がいるとは、なんという幸運か。


 そして。

 同時に、彼は自身の頬が赤く火照るのを感じた。

 いくら精神的に熟達していても、前世ではろくに異性と関わってこなかったトルフィン。言ってしまえば女性恐怖症である。しかも彼女ほどの美しい子を前にして、緊張しないわけがない。


「あ、あ、あうう……」

 ――なに年下にキョドってんだ俺! しっかりしろ!

「シュ、シュロン国の、おお王子、トルフィンです。き……君の、名前は?」

「は、はぅ……」


 まだゴルムにしがみついている幼女に、ゴルムは優しくも厳しい口調で言った。


「ほら、王子様がご挨拶してくださったぞ。おまえもお返しをなさい」

「は……はい」


 おそるおそるといったように、幼女はゆっくりと前に進み出る。途中、何度かトルフィンと目が合ったが、その度に顔をそらしている。


「リュア、と、いいます。よ、よろしく、お願い、します」

「こ……こちらこそ……」


 二人してキョドっている子どもたちを、ロニンとゴルムは微笑ましそうに見つめていた。


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