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晴れの舞台へ

 シュロン学園。

 今年めでたく開校するこの学校には、相当数の生徒が集まった。


 セレスティア王女が各方面を走りまわり、有能な教師を集めたのがその理由である。また図書館などの施設やグラウンドも非常に大規模に作られており、教育のための準備は万全に整っている。それも人気の秘訣だ。


 また、クローディア学園には入れなかったものの、それでも学問を希望する中流~上流の家庭も入学を申し込んできた。なにしろ《学校》自体がこの世界には少ないのである。


 以上を踏まえると、シュロン学園に生徒が殺到するのはごく自然の流れだった。シュン校長の見立てでは、新入生はのべ千人にものぼる。そこにはもちろん、モンスターの新入生も含まれている。


 千人。

 この数字は驚異的だとトルフィンは思った。

 前世における一学年よりも圧倒的に多い。

 しかも。

 その約半数は幼女だから、俺は五百人以上もの女をよりどりみどりできる……


 などと不埒なことを考えていると、

「ねえ、トルフィン?」

 とロニン母に顔を覗かれた。


「っへ?」

「どうしたの? さっきからニヤニヤ笑ってるけど」

「あ、えっと……そのう」


 近い。近いよ。おっぱいが。

 前世であれば《ご褒美》的なシチュエーションだが、やはり相手が母親だからか、特に喜びは沸き起こってこない。


 ちなみに両親は、トルフィンが転生者であることを知らない。黙っておいたほうが得策だろうと判断したためである。

 どうやらこの世界においては、前世の記憶を持つ者はごく珍しいらしい。というより、トルフィン自身しかいないかもしれない。


 前世の年齢を含めても、ロニンは年上だ。ここは敬意を持たねばなるまい。


「学校が楽しみで……つい」

「そう……なんかそういう笑い方じゃなかったけれど……」

 心配顔で首を傾げるロニンだが、数秒後には、

「よし、着替え完了!」

 と満面の笑みを浮かべた。


 トルフィンの着替えが終了したのである。

 シュロン国の王子となれば、身だしなみもしっかり整えなければならない。トルフィンはいまや小さなスーツに身を包まれていた。


「よし、じゃあいこっか!」

「はい!」

 こうしてトルフィンはロニンに手を連れられ、晴れの舞台――入学式に向かうのだった。


    ★


「――しかし、あなたも人が悪いですな」

「はて、なんのことだか」

「よりによって、あの者たちに転生者を授けるとは……きっと大騒ぎになりますぞ」

「ほほほ……《大騒ぎ》程度で済めばいいですがね」

「なんにしても、勇者アルスがこちら側に来たことで、カードは揃いましたな。後は時期を待つのみ」

「ええ……いまはっゆっくり待ちましょう。崩壊のときをね」

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