表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
146/263

トルフィン(六歳)の野望

 トルフィンには前世の記憶があった。


 ロニンの腹から生まれ、この世に生命を授かったときから、明確な意識を持っていた。ゆえに、シュンとロニンが交わしている会話も、そのまま理解することができた。


 享年十六歳。

 道行くドラゴンに踏まれて死亡。

 なんとも情けない死因であるが、前世に未練はまったくない。


 もう一度言おう。

 まったく未練はない。

 むしろせいせいしたくらいだ。


 両親も友人も、うまくコミュ二ケーションを取れず、ずっと引きこもるトルフィンを邪険に扱っていた。おまけに学力も運動能力もまったくなく、将来性も皆無。


 一度死んで生まれ変わりたいなどと願っていたが、まさかその悲願が成就することになろうとは思ってもいなかった。


 比べて、今世の俺はスペックが高いーートルフィンは常々そう思っていた。


 まず父親が国王なのである。

 この時点でハイスペックなのだが、なにしろこの親、ステータスもべらぼうに高い。おそらく世界最強といっても過言ではあるまい。


 次に母親。こちらはなんと魔王である。

 父親ほどではないが、母親もかなりのステータスの持ち主だ。そこいらの戦闘員ではまるで適わないだろう。


 母親は名を《ロニン》というらしい。

 幼い見た目に反して、男の視線を釘付けにする爆乳。なんとも魅惑的な身体をしているが、不思議と欲は湧いてこなかった。前世と同じく母親に欲情などしない。ただ、赤ん坊のふりをして(というか本当に赤ん坊なのだが)、乳を吸っているときは幸せであった。本当に。


 さて。

 そんな二人の間に生まれたのだから、トルフィンにも並々ならぬ才能があって当然だった。前世に比べて身体が軽いし、なんだか物覚えも良い。ちなみにトルフィンの前世には《ステータス》という概念がなく、最初は理解に苦しんだが、これもゆっくり覚えていこうと思っている。


 生まれて数年後のトルフィンに、シュンは《ずっと自室にこもっていろ。絶対に部屋から出るな》と命じた。

 これを聞いたトルフィンはおおいに疑問だった。俺をまた引きこもりにでもするつもりなのか。それとも単なる育児放棄なのか。


 だがトルフィンとて、前世では重度の引きこもりだった身。自室に長時間こもっていることについては、まったく苦ではない。排泄と食事さえなんとかしてくれれば。あとたまには散歩くらいしたい。


 そうしてトルフィンは六歳になった。この歳まで同い年の友達とかできなかったけど、大丈夫なのか、これ。


 だが、両親は呑気なものだった。六歳になったトルフィンのステータスを見るや、「やっぱ俺の子だ」「強い強い」などとはやし立てた。やっぱり俺はかなり強いらしい。さすがは国王と魔王の息子。


 そんなトルフィンに、さらなる吉報が舞い込んできた。

 ーートルフィン。おまえは今年から学校に入学するんだ。頑張ってくれよ。


 学校。

 この言葉は衝撃的だった。この世界にも学校があるとは僥倖ぎょうこう以外の何物でもない。


 なぜならば。

 トルフィンはロリコンだからである。

 前世で周囲から嫌われるようになったのも、その性癖がバレたのが原因だった。しかし悲しいかな、今世にもトルフィンはその性癖を持ってきてしまったようだ。 


 しかし。

今回は合法だ。

合法的に小さい子といろんなことができる。しかも前世とは違い、俺は王子という素晴らしい立場を携えている。これを利用しない手はあるまい。


 むふふふふ……

 学校の入学へ向けて、トルフィンはひとり、自室でニヤニヤ笑いを浮かべているのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ