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最強の国と皇女の憂鬱


 ーーそっか、そういうことか……!

 ここにきて、セレスティアに《ある予感》が浮かんだ。


 なぜ、シュンはこんな奇っ怪な攻撃を行ったのか。彼のことだから、生き物のいない場所に光線を放ったのだと思われるが、それでもこの攻撃は危険すぎる。下手をすれば町のひとつでも消滅しかねない技だ。


 その危険を犯してまで光線を放った理由。それはひとつしかない。


 ーーシュン。本当に、あなたって人は……

 胸にわき起こる奇妙な感慨を踏みしめながら、セレスティアは騎士たちに向け、決然と言い放った。


「わかりましたか。これがシュロン国を攻めるということなのです」

「なに……?」


 騎士が疑問の声をあげる。


「あなたたちは魔王にさえ適わなかった。そんな魔王よりも強い者がシュロン国の王なのです。安易に攻め込めば、王都にも無視できない被害が出るのは必然」


 そしてこれは、《他の勢力》への牽制でもある。

 今回の件で、シュンと魔王の力は広く世間に知られることになった。これにより、シュロン国を飲み込まんとする無粋な勢力を抑止することができる。


 小国であろうと、無思慮に攻め込ませないようにする。それがシュンの画策だ。


「シュン国王と魔王が共存する世界か……たしかに恐ろしい。まさに最強の国といえよう」


 ぽつりと、ひとりの騎士が小さく呟いた。


「セレスティア殿よ、あなたはシュンに取り込まれてしまったのか。なぜエルノス様を殺したのだ……!」

「…………」


 セレスティアは口を結び、なにも言わなかった。

 エルノス国王。

 セレスティアの父。


 昔は彼を尊敬していた。父のように立派な指導者になろうと思っていた。


 ーー私だって、できれば殺したくはなかった。

 エルノスは国王である前に父親だから。私の生みの親だから。

 けれど、エルノスは権力に惑わされすぎた。懸命に生きるシュロン国民を危険に晒し、セレスティアさえ殺そうとしてきた。


 だからもう、父とは完全に決別せねばならない。


「エルノスの悪政はあなたたちだっって知ってるでしょう。私たちはそれを見て見ぬふりをしてきた」


「…………」


「あいつが生前、なにをやろうとしていたか……それは今後、ゆっくりと明らかにしていきます」

 ーーさようなら、お父さん。

 これからは、私が、王都の民を守っていきます。

「今後は私が王都の王になります。エルノスでは成し得なかった、平和な世界をつくるために」

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