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魔王の娘に引きこもりは向いていない

 ーーああ、これこそ至福の時間。


 込み上げてくる感慨を噛みしめながら、シュンは寝返りを打った。


 いま何時だろう。

 昼頃だろうか。

 もしくはもう夕方になったのか。


 いや、時間なんてもはやどうでもいい。

 引きこもりの俺にとって、時間なぞあって無いようなもの。


 以前は口うるさい親に無理やり起こされたりもしたが、その心配もいらないのだ。


 好きに寝ていられる。

 腹が減ったらそのへんの菓子を手に取ればいいし、目が覚めたらテキトーな本で時間を潰せばいい。


 ああ、なんと最高な一日なんだろう。


 誰ひとりとして、この至福のときを邪魔することはできなーー


 バタン!


 そんなシュンの思考は、勢いよく扉を開かれる音によって中断された。


「お兄ちゃん! ひ! ま!」


 案の定、ロニンだった。


「……おまえかよ。うるせぇなあ」


「だって退屈すぎて死にそうなんだもん! ずっと家にいれば大丈夫なんでしょ? だったら家のなかで遊ぼうよ!」


「断る」


「なんで!」


「めんどくせぇ」


 そっけないロニンの返事に、ロニンは目を滲ませる。


「お兄ちゃんなんて、もうレベル999だし、こもる必要ないじゃん。なんで外に出ないで平気なのよぉ」


「まあ、これも修行のたまものということさ。おまえには鍛錬が足りん」


 あまりに調子の良いシュンの発言を、ロニンは馬鹿正直に受け止めたらしい。


「ごめんなさぃ……」


 とうつむいてしまう始末である。


 ーーはあ。

 ため息をついて、シュンはロニンの方向へと寝返りを打った。


 水色の寝巻きを着たロニンは、戦闘服とはまた違った魅力があった。


 あのときは鎧を着ていたから気づかなかったが、意外と胸のサイズもあるらしい。


 幼い顔に反して、なかなか見事といえよう。


 その視線を感じたのだろう。ロニンはきょとんとした顔で言った。


「……どうしたの?」


「イヤ。おまえ、案外カワイイと思ってな」


「か、かわ……!」


 ぼふっと音がするほどに顔を赤らめるロニンを放っておき、シュンは「よいしょ」と立ち上がった。


「おまえのせいで腹減ったよ。メシにしようぜ」


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