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引きこもりになるための厳しい修行

 シュンいわく、引きこもりは最強の職業らしい。


 働いていないのになにが職業なのかーーと問いたくなったが、それは黙っておいた。


 では、なぜ最強なのか。


 それは成長の効率が最も良いから。シュンはそう語っていた。


 この世界では、職業に応じた働きをすることで経験値が溜まり、レベルが上がっていく。


 料理人は、料理をすることで。

 剣士は、戦うことで。

 商売人は、物を売ることで。


 それぞれの職に見合った功績を上げることで、ステータスが上がっていく仕組みである。


 その点で見れば、引きこもりはたしかに最強である。


 なにせ家でぼーっとしているだけで経験値が溜まるのだ。睡眠時間すらも《働いている》ことになるので、まさに一日を通してレベル上げに勤しんでいることになる。


 シュンの言う、効率の良さとはこのことだ。


 剣士は命がけで戦わなければステータスが上がらない。非常に効率が悪いのだ。


 ちなみにこれはシュンもロニンも知らないことだが、剣士などはレベル上げの効率は悪いものの、一レベルごとに上がる数値は高い。


 逆を言えば、引きこもりは一回ごとに上がる数値は低めである。


 だが、剣士はその効率の悪さゆえに、一生をレベル二桁で終えるケースが多い。


 シュンの場合、一回ごとのステータスの上がりは低いものの、驚くべき引きこもり年数が積み重なり、とんでもなく強くなっていたというわけだ。


 ーー引きこもりは強い。

 このことに気づけたのは、この世界でシュンとロニンだけである。


 そして引きこもりの《職業》になるには、最低でも一ヶ月の八割を、家に引きこもっていなければならない。


 ロニンはまだ一週間。

 耐えどきなのである。


 が。


「うぅ……」


 ベッドに腰掛けながら、ロニンは情けない声を発した。


 暇だ。あまりに暇すぎる。


 話し相手が欲しい。


 シュンは今後のためにも「一人の時間にもっと慣れろ」と言っていたが、もう限界である。


 ロニンは自室を飛び出し、そそくさとシュンの部屋へ向かった。家から出なければ《引きこもり》の条件を満たすので、これくらいなら問題ない。


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