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面倒な駆け引き

《褒美》とやらが贈与されるまで、シュンたちはそれぞれ部屋を割り当てられることになった。さすがは王城というだけあって、客用の寝室がいくつもあるらしい。

 そこまでの案内はセレスティアが受け持ってくれることとなった。


「すごい、すごいよシュンさん!」

 セレスティアの後を歩きながら、ロニンは黄色い声をあげた。

「あんな状況から、ご褒美をもらえるように交渉するなんて! さすがはお兄ーーシュンさんだよ!」

「そうでもねえよ。むしろここからが本番だ」

「……へ?」


 きょとんと目を丸くする魔王ロニン。


「褒美だなんだと言って、俺たちに無理難題を押しつけることもできるからな。たとえば、領地をセレスティアにあげて、シュロン国と引き離すとか」

「あっ、た、たしかに」


 仮にそうなった場合、セレスティアは素直に応じるしかない。彼女はシュロン国の民である前に、人間界の皇女なのだ。父王の言葉は絶対である。


「エルノス、か……」

 シュンは王の名を小さく呟いた。

 さすがは一国の主というだけあり、かなりの判断力の持ち主だ。


 彼ほど弁の立つ者であれば、無理やり不平等条約を締結させることもできただろう。しかしあえてそうしなかったのは、シュンを初めとする三人が、王の脅しにまったく動じなかったからだ。


 だから王は即座に作戦を変更した。無理やり条約を結ぶよりは、《褒美》によってシュロン国をわずかでも弱体化させようと。

 シュンの反論に、エルノス国王がすんなり応じたのはそのためだ。


「あ、あうう……」

 ロニンはすっかり萎縮し、眉を八の字にする。

「わ、私、こういう複雑な話は無理……」

「ばーか。俺だってめんどくせえっての」


 こんな騙し合いをするくらいなら、シュンだって引きこもっていたい。もとより面倒なことは彼の性分ではない。

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