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謎の対立

「な、なんだあの男はっ!」

「セレスティア様ともうひとりは誰だっ!」


 王都。

 シュンの転移魔法でワープしてきた一行は、思わぬトラブルに見舞われていた。


「はうぅ……みんなこっちを見てる……」

「そりゃそうよ。私、こう見えても皇女なんだからね。こ、う、じょ!」


 平坦な胸を思い切り張るセレスティアに、ロニンはなぜか対抗する。

「わ、私だって魔王だし!」


 よくわからない喧嘩を始めるロニンとセレスティア。

 だが一番ピンチなのはシュンである。

 なにしろ右手に美人、左手に美人。うちひとりは皇女様ときている。こんな三人組で注目されないわけがない。

 いまも、王都の街路のど真ん中を歩くシュンたちに、怪奇の視線を向ける者が多数。


「ば、馬鹿野郎!」

 慌ててシュンがロニンを小突く。

「でっかい声で魔王って言うな! パニックになるだろうが!」

「だ、だってぇ……」

 不満そうに口を尖らせるロニン。

 そしてその様子をしたり顔で見やっているセレスティア。


「はぁ……」

 尋常でない二人の様子に、シュンは思わずため息をつく。


 彼とて鈍感ではない。セレスティアに少なからぬ好意を持たれていることは、なんとなくわかっている。

 だが、その理由が判然としない。元引きこもりの男に、なぜ皇女ともあろう者が惹かれるのか。これも《支配力》のなせる技なのか。まったくもって理解できないのだ。


 汚い話をすれば、皇女に好感を抱かれることは非常に有益である。王都とのコネクションを存分に利用することができる。また、彼女は女性としてもかなり魅力的だ。


 とはいえ。

 もちろん浮気はしない。

 シュンはロニンを永遠に幸せにすると決めた。その考えはいまも、そしてこれからも揺らがない。


 のだが。

「…………!」

「…………!」

 いまだ目線で死闘を繰り広げている二人に、シュンはまたもため息をつくのだった。



 そのような波乱を含みながらも、シュン一行は無事に王城に到着した。

「でけえな……」

 見上げんばかりの王城。シュンは思わず息を呑む。いつかシュロン国もこのようになるのだろうか。


 城のつくりは魔王城にそっくりだった。

 正面入口しょうめんいりぐちを除く三方が、湖に囲まれている。そしてその正面扉の前には、大きな橋が架けられていた。

 その橋を渡り終えると、扉の左右で騎士が突っ立っているのが見えた。まさに微動だにしていない。指示がない限り、半歩も動いてはいけないよう教育されているのだ。


「警備ご苦労」

 セレスティアが毅然たる態度で騎士たちに話しかける。その堂々っぷりは、さきほどまで子どもの喧嘩を繰り広げていた彼女とは似ても似つかない。


 騎士たちは背筋をぴんと伸ばし、声を揃えた。

「はっ! 光栄であります!」

「お父様に会いにきたの。開けてくださるかしら?」

「はっ!」

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