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チートな村人の英雄譚

 ロニンはしばらくなにも言えなかった。


 強いなんてもんじゃない。

 もはや常識の範囲を超えている。

 まさにモンスター……化け物のごとき強さだ。


 すべてのステータスが万越え。

 魔法攻撃力に至っては限界突破寸前だ。勇者では適わないわけである。


 レベル999という数値も驚きだ。

 こんな数字、見たことがない。


 たっぷり数分間も口をパクパクさせているロニンに、シュンは苦笑しながら言った。


「ずーっと前から、俺は引きこもりでな。引きこもれば引きこもるだけ、レベルが上がっていくらしい。んでもって、ステータスもこの強さだよ」


 う、嘘でしょ……?

 ロニンはもうそれしか言えなかった。


 ずっと部屋にこもっていたのであれば、それはロニンとて同じことだ。だがシュンのように桁外れなステータスは持ち合わせていない。


 なんで。

 なんでこれほどの力の差が……


「なるほど……そういうことか……」


 ふいに男の声がして、ロニンはひいっと身を縮こませた。


 視線を向ければ、さきほど村人が宣言したように、早くも目を覚ましたアルスの姿があった。


 ただし、思うように身体を動かせないのか、膝立ちの姿勢ではあったが。


 たぶんこれも村人の計算内なのだろう。目を覚ましてまた暴れ出さないよう、殺さない程度に深刻なダメージを与えたのだ。


 アルスは片腕を抑えながら、半笑いで言った。


「ふふ……村人よ。完敗だ。貴様には何度挑んでも勝てそうにない」


「だろ? だからもう無駄に足掻くなよ」


「安心しろ。さすがにこれ以上戦う気はないよ」


 そこで勇者は悲しそうにうつむくと、改めてシュンを見据えた。


「それだけに残念だ。貴様ほどの者ならば、あの魔王すら倒せるだろう。きっと多くの者から賞賛される。貴様は英雄になる」


「悪いな。そういうの興味ねえ」


 ばっさり切り捨てるシュン。

 彼にとっては、家にこもり、自分の時間を満喫することこそが至福なのだ。


「はっ……まあ、そうだろうと思ったよ」


 アルスは諦観の笑みを滲ませつつ、話を続けた。


「ならば、その魔王の娘はどうする。この場で逃がしたところで、俺はいつか、魔王とその女を殺すつもりでいるぞ」

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