龍の怒り
天高く登った水の龍が爆発したのを見て、王都各所に光がともった。クレインとフェイルはすぐそこへ向かい走った。セアルド達が地上に這い出るとすぐ敵兵に囲まれた。
「この異教徒を逃がすな!」「我らの手で鉄槌を!」「この悪魔ども!」敵兵は罵声を浴びせながら追ってくる。
「好き勝手に言うな、こやつらっ。」
「所詮、私達とはわかり会えぬ。そんなものよ」セアルドとクライドはそんなことを言いながら目の前の敵を蹴散らしていく。
「馬くらい用意したんだろうな。」セアルドが聞くと「最高のもてなしを用意したよ。」そうクライドがいうと、方術の詠唱が響いた。
『我が拳に宿りし龍の怒りを解き放て 激龍爆風拳』
『我が魂に宿りし水の力よ敵を討て 爆龍激水波』
後方の敵を地を這う水と風の龍が次々と吹き飛ばしていく。クレイン達だ。民家の屋根から援護しセアルド達は前へ進んでく。門の近くに来ると火が着いた矢がセアルド達から離れたとこに何発も放たれだした。焔が方術でブリックの矢を火矢にし、敵を陽動するためはなたれていた。「君の火炎方術は便利だね。」「ブリックさんの弓裁きには勝てませんよ。」「でも方術にはこんなやり方もあるからっ、」『この世の偽りを見せよ 多龍玄射』放たれた一本の矢が龍の息吹きのように見えるほどの量に増えた。「死にはしないが恐怖はそれ以上だよ」
「クライド・・・お前、焔まで連れて来たのか」「人手が足りませんでしたので。ですが彼はなかなかの資質があります。いずれ私達より強くなるでしょう。」「そうだな。」
シナイグの王都を離れ橋に差し掛かるとガインが馬を準備していた。皆で馬に跨がり橋をわたり終えるとガインが斧を構え詠唱した。『猛る龍の如く戦場を駆けよ 剛龍岩振波』
橋は吹き飛ばされ敵兵は追ってこれなくなった。
「使えぬ屑どもが、退け。後は私一人で追う。」シナイグの兵の頭を踏み台にして黒い衣の若者がセアルド達を追った。