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覚悟のかたち

焔が目を醒ますと、そこは王都テンラインの医務室だった。

「気がついたかい」医師セロが問いかけた。「君は気を失いセアルド様に抱えられて帰還したんだが、セアルド様が気がついた時には化け物は消え、君の周りが燃えてたらしいが何があったんだ。」「すみません。何も思い出せないんです。」

「そうか。まだ疲労してるのだろう。焦らずゆっくり休んでいきなさい。そうだ、セアルド様が君を心配していたから目を醒ましたと伝えておくよ。」焔は軽く会釈し、セロはでていった。

「あれは夢だったのか」焔が呟いた。

『夢ではない。』目の前に炎を纏う男が現れた。

『私が真天界軍西方軍炎将 阿礼須だ。』焔は驚いた。そこにいた男は父に良く似た姿に見えた。『父上に似てるか、無理もない君に力を授けるまで父上に力を授けていたからな。だが、君の父上は力を最大迄に発揮することが出来ない身体だった。彼は里を護る為に神力の高い防御壁であの化け物以外の悪魔を寄せ付けないようにしていた。だが、力が限界で、力尽きたんだ。まったく、誰よりも誇り高い御仁だった。』焔は泣き出した。それまで耐えに耐え忘れかけた思いが全て押し寄せてきた。阿礼須はいつの間にか消えていた。

しばらくするとドアを叩きセアルドがきた。

「調子はどうだ。」焔の横に座った。「君の里の復興のため王は全力を尽くすそうだ。」

「無駄です。皆死にましたから。」焔の頭に手をあて言った。「いや、君がいるじゃないか。それに燎の里の想いをつなぐ者は君だけでわない。私の部隊に燎出身の者は七人いる。君さえ良ければ軍に、私の部隊に入らないか。」「私は力が弱く、皆さんに迷惑かけます。」「気にするな。戦うだけが兵でわない。それに私が鍛える。・・・実は私の里も既に滅んだ。他国の進撃によってな。だが、王に救われその後、里は復興し今では王都になるまで成長し、私は将兵にまでなった。無理強いはしない。だが、未来は決して残酷な道だけでわない。君のやりたいようにすればいい。」「セアルド様、私は出世には興味はありません。ですが、アレイグ陛下やセアルド様に救って頂いた恩を蔑ろにするほどバカではありません。・・・人を救う。私には大それたことにおもえますが、私は私の里の悲劇を繰り返さない為に、一人でも多くの人を守るため、私も命を捧げます。」

セアルドは怒鳴った。「何が命を捧げるだ馬鹿者ぉぉ!死の覚悟等は死ぬ時にせよ。我らは生きて守らねばならないその覚悟は決して一人で背負う物でない。・・・誘った癖にすまなかった。」セアルドが部屋を出る瞬間、焔は立ち上がった。「明日より鍛練のご教授お願い致します。」「おう、私は少々厳しいぞ。だがきっと一人前にしてやる。覚悟してろよ。」笑顔でセアルドはその場をあとにした。

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