魔剣な一日
あの後、エリスが迎えに来て剣の値段を聞いたが、おっさんは約束を守りタダにしてくれた。
帰る途中にあった防具屋である程度の弱い魔法なら防げるローブがあり色々な色の種類があってその中で俺は黒のローブを選んだ。やっぱり色は統一したほうがかっこいいと思ったからだ。そうして武器と防具を買った俺はエリスに連れられて帰っていった。
今は夜。エリスも帰ってしまい一人ぼっちだ。別に寂しくはない。ただ暇なだけだ。
「あ〜暇だな〜何かないのかよ〜」
そう言ってあたりを見回してもなんにもなく。ただただ暇をもてあますだけだった。
「ひ〜ま〜だ〜!!」
「おい!兄ちゃんちょっとうるさいぞ。そんなに暇なら俺と話さねぇか?」
どこからともなくそんな声が聞こえてきた。
「え!!なんだ今の声!?誰かいるのか!?」
周りを見回しても誰もいない。
「どこ見てやがる。もっと下だ。目線を落とせ。」
目線を下げてみた。そこにあったのは、今日買った魔剣だった。
「いや・・・まさかな?」
「そのまさかだよ兄ちゃん。俺だ魔剣だよ。」
「・・・うそーーーーー!!!」
「嘘じゃねぇよ。あとうるせぇ。」
「え、あ、ごめん。でもなんで剣がしゃべってんだ?」
「剣がしゃべっちゃいけねぇのかよ。あと俺は魔剣だそこらにある普通の剣と一緒にすんじゃねぇよ。ついでに魔剣って呼ぶんじゃねぇ。それは称号であって俺の名前じゃねぇ。」
「魔剣に名前ってあんの?」
「おうよ!俺様にはそりゃもう立派な名前がついてんだよ。」
「で?その名前ってなにさ?」
魔剣は胸をはって(胸無いけど)誇らしげに言った。
「俺の名前は黒帝だぜぇ。どうだいい名前だろう。俺を作った職人が付けた銘でなぁかなり気に入ってんだ。」
「へ〜黒帝ね。うん、いい名前だと思う。」
「だろ?ところで兄ちゃんの名前はなんていうんだ?」
「俺か、俺は水月蓮っていうんだ。よろしくな黒帝。」
「なるほどなぁ。兄ちゃんは蓮っていうのか。じゃあ俺は次から兄ちゃんのことを蓮って呼ぶなぁ。
ところで蓮よぅ。なんでお前こんなところにいるんだよ?」
「いや〜それがな不審者として捕まえられてな。でも明日になったら国外追放だから外に出れるんだよ。」
「へぇー。じゃあ蓮は旅人になんのか?」
「そういうことになるな。だから明日は早いんだ。もう寝てもいいか?」
「ん?なんだもう寝るのか?俺はまだまだ話たりねぇってのによ。」
「ごめん。でももう寝るから。続きは明日ってことで。おやすみ黒帝。」
「ちっ!分かったよ。おやすみ蓮。」
こうして蓮と黒帝の夜は終わった。
Ryouですvv第5話upしました。
次からは旅のお話です。少しでも楽しんでいただけたらなと思っています。