出発と次の目的地
早朝、蓮は起きた。早朝といっても外は真っ暗。これからあと30分もしたら日が差すぐらいの時間だ。
蓮は前の晩にあらかじめ用意しておいた荷物(荷物といっても黒帝と昨日の晩にガンフィールさんに貰った干し肉や携帯食料。あとは報奨金で買ったナイフを三本位だけだ。)を持ちドアを開けた。しばらく右に歩くとミラが寝ているであろう部屋に着いた。
コンコンッ!!
「入るぞ。」
ガチャッ!!
ドアを開けて部屋に入った。ミラの部屋は俺の部屋とほとんど変わらなかった。
まあ当たり前か。と思いベッドに近づいた。
「お〜いミラ起きてるか〜」
ミラは布団を頭まで被っていて顔が見えなかった。
返答はない。もう一度声を掛けてみる。
「お〜いミラ〜起きてたら顔をだせ〜」
また返答はない。今度は起こすためにミラの身体を揺す振りながら声を掛ける。
「おい、起きろ!!ミラ!お〜き〜ろ!!」
うう〜んという寝言を言って布団から顔を出した。
「あれ?なんで蓮がいるの?おはよう〜」
まだ眠そうな目を擦りながら言ってきた。
「ああ、おはようミラ。今日はこの国を出る日だって昨日言っただろう。だからお越しに来たんだ。まだ寝ていると思ったからな。」
「あ〜そういえばそうだったね〜でもなんでこんなに早いの?まだ夜じゃん」
と言うと、よいしょっ!!っと声を出しベッドから起き上がった。
「何言ってるんだ。日が出る前にここを出発するって昨日決めたじゃないか。」
「うそ〜覚えてないよ?」
「お前な〜覚えとけよ。とにかく昨日そう決まったんだからたとえ覚えてなかろうが覚えていようが関係ない。早く準備しろ。」
「分かったよ〜」
ミラは返事をすると髪を整え部屋の掃除をしたあと荷物の整理をして部屋を出た。
俺とミラはガンフィールさんに教えてもらった裏口から外へ出た。
門に向かって歩いている。
「ねえ蓮、さっきから聞きたかったんだけどナミさん達にこの国を出て行くこと言わなかったの?」
「ん?ああ、それは昨日ちゃんと言ったよ。お金を払って今日国を出ることを伝えた。
そしたらなガンフィールさんが干し肉と携帯食料を二人分くれたよ。今日の朝飯にしてくれってさ。」
「へ〜ちゃんと言ったんだ。てっきり言ってないのかと思ってた。」
「なんでだよ。金払わないで出ていくつもりだと思ったのか?」
「うん。そう思った。」
「なんだとこのやろう〜こうしてやる」
蓮はミラの両頬を摘んでこれでもかというぐらい左右に伸ばした。
「あひゃっやめれ、やめれ〜ごめんなはい〜」
蓮はしばらくそうした後手を離した。
「うう〜痛いよ〜」
「うるさい。あんこと言うミラが悪い!!」
そんなことをしているうちに門が見えてきた。
そこには来た時にもいた。門番がいた。
「ん?お前はあの時の旅人か。今日は何のようだ?」
「今日この国を出るんだ。だから通してもらいたいんだ。」
「ああ、この国を出るのか。これから何処に行くんだ?」
「それはまだ決めてない。これから決める所だ。」
「そうなのか。じゃあアルカニア王国に行ってみたらどうだ?ここからだったら2日も歩けば着く距離だしな。今だと確か武道大会が開かれてるんじゃないか?」
「いいなそれ。そこにしよう。いいだろミラ?」
「うん。わたしもアルカニア王国でいいよ。一度行ってみたかったんだよね〜あそこ。」
「よし、決まりだ。じゃあ行こう。おっさん情報ありがとな〜」
門番のおっさんに別れを告げて草原を歩いていった。
そしておっさんと呼ばれた門番は・・・
「おっさん・・・俺まだ24なんだけど。そんなに老けてっかな〜」
とうなだれていた。