龍(ドラゴン)討伐
「桜爛流烈風桜波斬!!」
蓮は黒帝を目に見えぬほどの速さで十字に振り、真空の刃を発生させた。真空の刃は炎龍に向かってとんでいく。
目に見えぬ斬撃、炎龍は下から何かが向かってくるのを感じた。炎龍はそれを回避しようとした。しかし気づくのが遅すぎた。真空の刃は身を捻ろうとした炎龍に当たりその身体を無残に切り刻んだ。
ガァァァァアアアアアアアアア!!!
ドカァアン!!!!
炎龍は蓮達の前に落ちた。お腹には大きな十字の傷ができていた。
ミラはその光景に唖然とし言葉がでなかった。
「ふぅこれで終わりか。なんか物足りないな。」
当の本人は疲れた様子も見せず黒帝を鞘に戻した。
そしてミラの方を振り返ると笑顔を見せ
「じゃあさっさと討伐した証としてドラゴンの角持って帰ろうぜ。」
といった。
ミラは蓮の言葉で我に返り慌てた様子で角を切り落とそうと再び黒帝を抜いた蓮に近づいていった。
「蓮って強いんだね〜私驚いちゃったよ。」
「ははは、だから言ったろ!俺は強いから心配しないでいいってさ。」
「うん聞いてた。でもあんなに強いとは思わなかったよ〜」
そんなドラゴンを倒した後とは思えないほのぼのとした会話をしていた。
すると角を切り落とした蓮が黒帝と呼ばれていた剣を鞘に戻そうとしたとき声が聞こえた。
「おい蓮、さっきの技すげぇなぁ。カマイタチだろ!?あんなどでかいカマイタチ見たことねぇよ。風系統の魔法使いだってああはいかないぜぇ!?」
すると蓮は私に聞こえないような声で(実際は聞こえてるけど)
(ちょっと黒帝、ミラにも聞こえちゃうじゃないか!!)
「ああ、大丈夫だよ。魔剣の声は所有者にしか聞こえねぇから安心しろ。」
(そ、そうなの?ならいいけどさ彼女がいる前とか街中で声かけないでよ。皆にも聞こえるのかと思って普通にお前と話してたじゃないか!!俺すごいあやしいじゃん。)
「ああそうだな。俺と話している蓮を見る町の人たちは皆お前に哀れみの目を向けてたからなぁ。それにそこのミラっていう女も俺と話しているお前を”何この人”みたいな目で見ているぞ。」
そう黒帝が言うと、今まで黙ってたミラが口を挟んだ。
「いや私が見ているのは蓮じゃなくて剣の方なんだけど。
な、なんでしゃべってんの!?ていうかそれ魔剣!?じゃあ蓮って魔剣のマスターだったの!?」
ものすごい驚いた様子で、そしていきおいで蓮に聞いてきた。
蓮はごまかすことなく、後でまた自分のことを聞かれるのが面倒なので自分が異世界から来たことから今までのことを全部ミラに話した。
蓮のすべてを聞いたミラはパクパクと口を開閉させて
「うそでしょ・・・・・・」
と言ってしばらく思考を停止した。
そして蓮はそんなミラの顔の前で手を振り
「お〜い大丈夫か〜帰ってこ〜い」
とミラの意識が戻ってくるまで手を振っていた。