蓮の過去
「ほれ、早く教えてくれぇ。」
黒帝が急かす
「もう、そんなに急かさないでよ。話すからさ。」
蓮は天井を見上げたまま話始めた。
「俺さ、ここに来る少し前まで爺ちゃんと一緒に住んでたんだ。両親は俺が5歳になる前に死んじゃったらしい。」
「起きんか〜〜〜!!!」
ゴチン!!
すやすやと眠っている俺に爺ちゃんの拳骨が頭に降ってきた。俺は夢から現実に引き戻され飛ぶように起きた。
「いってぇぇぇぇぇぇ!」
赤く腫れた頭を擦りながらこっちを上から覗いている爺ちゃんを睨みつけた。
「なにするのさいきなり!!それに・・・うわ!!なんだよこれまだ朝の4時じゃないかよ。」
爺ちゃんは蓮の睨みに臆した感じも無く腰に両手をやり蓮を見下しながら言った。
「早起きは三文の徳と言うではないか。だから起こしたんじゃよ。」
「だからってこんなに早く起こすことは無いだろ。まだ外真っ暗じゃないか。」
蓮は怒りながらいった。
「まあまあ、あまり怒ってばっかりだと血圧が上がるぞ。」
「あんたが怒らせるような真似をしたんじゃないか!!」
蓮は怒りを通り越して呆れていた。爺ちゃんはだいたい1週間に1度こういう変なことをしだすのだ。今日はまだ良いほうだ。この前なんか起きたら折の中にいてクマと戦えととか言ってきて刀一本渡して帰っちゃったし。そのほかにも色々と・・・。
「で、今日はなんでこんな早い時間に起こしたのさ。爺ちゃんの事だから何かあるんでしょ?」
「ああそうじゃった。蓮よワシは今から1週間、お主に秘伝の奥義を習得するための修行をつけてやろうかと思っての。」
「え!!秘伝とはいえ奥義の習得に1週間もかかんの?」
蓮は驚いていた。それは当然だ。蓮は幼い頃から爺ちゃんに剣術を習い、ほとんどの技をだいたい3時間奥義でも最低半日で習得していた。それは普通ならありえないことだ。しかし蓮はその類まれなき才能で普通なら1週間で習得するはずの技もわずか3時間という脅威のはやさで習得していた。その蓮が習得に一週間かかるのだ。普通の人が習得するのにどれほどかかるのか。
「ああ、間違いなくかかるのう。最高1週間じゃ。遅くても蓮なら1ヶ月もあれば習得できるじゃろう。」
そういって爺ちゃんはいつも修行している道場の中に入りそこでするのかと思ったら爺ちゃんはその場にしゃがみこみ道場の床にあるタイルを取った。なんとその下には階段があり地下へと繋がっていた。
「ほれ、蓮早くこんか。」
爺ちゃんに言われて下まで降りていった。そこは上の道場と比べて、何にも無くただ奥の方に祭壇がありそこに巻物らしきものがあった。爺ちゃんはその巻物を手に取り俺に開いて見せた。
「蓮よ、今からお前に秘伝を授ける。下手をすれば死ぬかもしれん。それでもやるか?」
いつもの爺ちゃんの顔はそこにはなく、流派の長の顔がそこにあった。
俺は迷わずいった。
「うん。やるよ。そして絶対に死なない。約束するよ。」
「よろしい。ではこれより水月蓮に第55代継承者として秘伝の技を授けよう。」
こうして秘伝の奥義の習得が始まった。
1週間後
蓮は無事秘伝を取得し、そして5日後、爺ちゃんが倒れた。脳梗塞だそうだ。蓮はすぐに救急車を呼んだんだが病院まで間に合わず救急車の中で息を引き取った。爺ちゃんが亡くなる前に蓮に話しかけてきた。
「蓮よ、すまないな。ワシは蓮に剣を教えてやることができなかった。それだけが悔いじゃ。
もっとお主には色々なことを教えてやりたかった。悔しいのう。そこでじゃ蓮、お主には4月から高校に行ってもらう。そこでワシが教えてやりたかったことを学んで来い。そこで真にワシが教えてやりたいことが分かる日がくるだろう。」
それが最後の爺ちゃんの言葉だった。
4月7日入学式当日クラスの発表があった。学校に行った事が無い俺は何もかもが新鮮だった。教室に入り中の様子を覗った。髪を金髪にしてる奴や変な髪形にしてるやつもいた。俺は
教室の一番右奥の窓際に座った。それから眠ってしまい、気づいたら異世界だった。
っていう訳だ。」
Ryouです。
今回は蓮の過去偏です。いろいろ考えるのがたいへんでした。あまり書き過ぎるとネタバレになっちゃうしね。