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欲神様  作者: 数胴
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ご献上ご献上ご献上!


「きりーつ!きをつけー!れいー!」


「せんせー!おはよーございますー!」


子供特有の無邪気な声が、小さな教室にこだまする。


私もその子供たちの1人だった。


…私の村には学校があったが、クラスは1つ。

人数は12人程だ。

年齢もバラバラで、兄弟かと見紛うほどの差ほど離れている。


「えー今日は、村の神様のお話をします!」


「えーまたー?もう飽きたよー!」


…私も同感だった。

学校はもっぱら村の神様…欲神様についての歴史を学ぶところで、まともな勉強なんかしたことがなかった。

毎日毎日欲神様とやらの話をされて、とても飽き飽きしていた。


ただ、今日は先生の様子が違った。


それはなんというか…表に出るものではないような、そう、例えるなら。

気合というのか、情熱というのか。


奇妙なものを感じた。


先生が続ける。


「皆さん、来月には待ちに待った欲神様へのご献上が行われます!

その事についてのおさらいをしておきましょう!」


ご献上…聞いたことがある言葉だが、あまりすぐには出てこなかった。


「ご献上とは!各々の家から代表者がくじ引きによって決められ、その家が担当している部位を、年少者が奉納することです!

皆さん、当然覚えてましたよね?」


私の胸にちくちくとしたものが刺さったような気がした。

まさに図星だった。

ぜんぜん覚えてなかった…。


「せんせー!しつもん!部位ってどこでわかるのー?なにでわかるのー?」


「いい質問ですね!崇くん!

ご献上する部位はお家の名前の中に含まれている身体の部位の名前で決まります!

例えば崇くんなら、『指島 崇』なので、指、ということになります!」


「えー指なんだぁー…なんか痛そう」


と崇が言うと同時に、バン!と、先生が教卓を激しく叩いた。

…それはやっぱり奇妙だった。


「崇くん?欲神様は偉大な偉大な神様なんですよ?

身体の一部をご献上できることに喜びを持ちなさい?」


それは同意を求める語感ではなく、強制の意味を持っていた。


崇は怯えて、ただ頷くだけだった。


…今思えば、この時に私は早く逃げておけばよかったのかもしれない。


欲神様の話を聞かなければ。


私は。





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