瞬く間に瞬いた（200文字小説集）

眠れない夜のブラックボックス

「何で根拠のないものに頼れるのか、って思うのよ。考えだしたらそわそわして夜も眠れないわ」

「例えば？」

「そうね、飛行機が何で飛んでいるか分かってないのよ？」

「でも乗るでしょ？」

「なかったら不便だもの」

「そういえば、全身麻酔が何で効くかも分かってないんだよね」

「でも要るわよね？」

「なかったら痛いしね」

「実はあなたの事、本当に好きなのか分かってないのよ」

「知りたい？」

「結構よ。眠れない夜も悪くないもの」