五世
引き籠りニートの僕は、異世界ループに入っている事をすぐに理解した。
記憶が蘇り、またしても漏らしてから、すぐに窓から飛び降りそうなところでぎりぎりで踏ん張った。ゾンビの獣が来てからでも飛び降りるのは、遅くない。
僕は、戸に手をかけた格好で待った。心臓がバクバクしすぎてどれぐらいの時間を待ったのかよく分からない。
ただ日が沈んでいたので、数時間は経過しているのは間違いない。
待ちながら、前の事を思い出そうとする。なぜ、前は獣に食われて、今回は喰われなかったのか?
そうか、前は音を立てすぎたんだ。
そういえば紙切れがあったな。僕は、そーと音を立てないように紙切れのあった箱を開ける。
日が沈んでも月が二つあるので満月並に外は明るい。細かいところは読めたものではないが、目を通す事ぐらいならできた。
気持ちに余裕ができてきたのか喉の渇きを実感した。
お腹もぐーとなる。
しかしどうにもならない。部屋から出るのはとてもではないができないし、窓から安全に降りる方法もない。仮にこの窓から降りても外は魔の眷属で溢れかえっている。索敵能力で負け、ステレスもない、運動能力では雲泥の差があるだろうし、なにしろ数が多すぎる。
どうしても耐えられなければ死ねばいいと割り切ろう。
また飛び降りるのか。。。
くそう、どうしてこうなった。
そうだ、召喚者が何も分からないで俺を呼び出したんだ。
ようやく彼女フラグが立って、できそうだったのにな、二次元彼女だけど。
そうだ、スマホだ。歩きスマホをしていたぐらい元の世界では、スマホ漬けだった僕が、こんなに長くスマホの存在にすら気が付かないなんて!
ポケットからスマホをだし、画面を見る。圏外マークとWIFI等にもつながっていない状態が示されている。うん、元々キャリアーとの契約がないタイプで通信は無線LAN以外では使えないタイプだったので当たり前である。
僕は、ギャルゲーを起動して、彼女フラグが立っていた子を口説き始めた。
2時間ぐらいかけて彼女をついに口説き落とした時に、「やった!」と大声を上げてしまった。
ぺちょぺちょ。。。
ガタン!
僕はスマホを地面に落としてしまった。いや、そんな場合ではない。。
窓から、あ、間に合わない。。