0世
やかましい車のクラクションの音が飛び交う中、僕は交差点のど真ん中に座り込んでいた。
そうだ、新作のギャルゲーを買いに秋葉原に来ていたところだ。
この交差点をわたっているところで、頭がぐらっときて。。
なんだか長い夢を見ていた気がするが、まさか交差点の真ん中で寝ていたんだろうか?
僕は家に帰り、ギャルゲーの育成アドベンチャーゲームを起動する。
18禁の物ではないが、お兄ちゃんとして妹を可愛がり、立派な女に成長させていくという内容だ。
システム的には、一昔のお姫様に育てる某ギャルゲーの物を踏襲している。しかし今風に「お兄ちゃん」と呼ばれる事にロマンを感じる年代をターゲットにしているのだろう。
妹は小学生入学からスタートする。習い事をさせたり、休みを一緒に過ごしたり、学校生活を支援するのが主なルーチンだが、イベントを発生させ、そのイベントの中で「お兄ちゃんみたいな人にお嫁に行きたいフラグ」を立てていく事が、効率よくパラメータを成長させる上で非常に重要な要素となっている。
方向性が分かりやすいためか難易度が低くく、僕は5時間ぐらいのプレイでエンディングにたどり着いた。
どうやらベストエンディングと思われる「お兄ちゃんのお嫁さんになる」エンディングにたどり着いたようだ。このエンディングでは、実は二人は実の兄弟ではなかったという後付的な設定が明らかになり、結婚式がエンディングのラストシーンになっていた。
エンディングを一通り見終わった頃、玄関のブザーが鳴り響く。
「はいはい、今行きますよー。」
ドアノブに手をかけ、戸を開くと、ちょうど今やっていたギャルゲーの妹役の少女に近い年頃の可愛らしい女の子が満面の笑みで立っていた。
次の瞬間、少女は大きくその場でジャンプし、僕の首にしがみついていた。そして、耳元で甘えた声で呟く。
「ね、おにぃーちゃん。」
出会いがしらに「ね」ってどういう事だろうと考えつつも、僕は両手を広げて、名前も分からない少女を抱き支えた。
フラグを沢山立てておいたので、この後どうなったかのかと、前話で二人がどんな異世界生活を送ったかは読者様のご想像にお任せします。
もう少しずるずる延ばす事もできたのですが、テンポ重視で行く事にし、完結させました。
まだ校正を入れる必要を感じていますが、思いもよらない評価、お気に入り、感想、PVを頂き、なんとか完結まで漕ぎ着けることができました。誠に、ありがとうございました。
こいつの書くもの次も読んでみてやるかーという方は、ユーザーをお気に入りに入れておいてくださいませ。
ではまた、その日まで。




