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五話

数々の魔王の眷属をなぎ倒し、僕は魔王の元に直行した。

弱い光を放つ日が真上に上る頃、空中で僕と魔王は対面していた。


「スマホと一緒にループできるなんて、ついてたねー」

軽いノリの日本語を話す魔王は、中学生ぐらいの体格の少女だった。

肌の色が漆黒というべきか、黒人の黒なんて目じゃないぐらいにどす黒かった。

そのため何人なのか良く分からない。顔の造形も正直よく分からない。

僕と同じく空を飛ぶための魔法と思われる黒い翼が背中からはえている。


そんな事より、この少女は狂人である雰囲気をかもし出していた。

マッドサイエンスティスト、テロリスト、重度の麻薬中毒患者、あらゆる頭のネジが外れた種類の人間を掛け合わせたような感じだ。



「スマホに魔方陣を書いて発動させてるんだよね?スマホの魔方陣だと何回も発動できるのかな?そのスマホ壊すとどうなるの?」

少女は好奇心いっぱいの顔でスマホを見つめているが僕は答えないで無言である。

正直なところ相手が少女で戸惑っているというのが本音である。


「一つぐらい答えてくれてもいいじゃないの、ケチ。」

「うーん、今回はちょっと降参かなー。寿命以外で死ぬのはひさびさよー。くやしいわぁー。」

お手上げをしておどけてみせる。


「でもね、君は私には絶対勝てないの。私の方が『先の者』だからね!」

口を広げて、ニヤニヤした表情で高々に魔王は宣言した。


「『先の者』?」

先の者?どういう事だ?


「あれれ、魔王だから日本語を話せるとでも思っちゃってたのーきゃははー」

人をどこまでも小ばかにする高笑いを響かせる。


「まぁいいわ、あんたみたいな幸せが顔に張り付いた人間が大嫌いなの。

わたしもすごく長い間ループに苦しめられたからね、同じ事シテアゲル。」

ニヤリと気色悪い笑みを浮かべ、そういうと魔王は、短剣を自らの心臓に突き刺した。


魔王は、空を回転しながら急降下していき、高高度から地面に叩きつけられた瞬間だった。

頭をグラっとした感覚が襲う。

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