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一世

引き籠りニートの僕は、召喚されたことをすぐに理解した。


うん、これはよくあるテンプレだ。なんという事はない。


どうやらここは、城の中。召喚の儀式に使われる部屋なのだろうと魔法陣や魔具のような物を見てテンプレ的に判断した。


召喚者の姫がいないが、この戸の奧だろうか?と考え、戸に手をかけるが、戸の上に何やら白い物が並んでいるのが視界に入る。


夜ではないみたいし、窓も空いているのだが外は暗い様子で、部屋の中も真っ暗ではないが、薄暗い。目を擦って近づいて白い物に近づいてみる。



ひぃ!!!!!!!!!!!!!!!!


心臓が激しく動悸し、頭が真っ白になる。


そこに並んでいたのは、王冠やティアラを被った髑髏頭であった。


腰を抜かして、その場に立ち尽くしてしまったが、次第に冷静さを取り戻し、壊れた窓から外を見る事にした。



え。。。


窓から見る異世界は、世界の終焉を感じさせるすべてがそこに描かれていた。描かれていたというのはまるでCGの様だったからだ。


力を失い、僅かな光を地上に届けている太陽のような恒星。

真っ赤な月と気味の悪い紫の衛星と思われる天体。

暗雲が立ち込め、雷が迸りるどす黒い空。

海もすらも薄らと赤く染まっている。


木々はほとんど見当たらないが、巨木に手のようなものが生え、動き回っている。

空には、ドラゴンが舞い、グリフォンのような怪鳥が気味の悪い甲高い奇声を発している。

何やら人型のような生物もいるが、人ではないと感じ取った。

人型には、翼が生えた者もいるが大半は、背中が極端に曲がっていて、動きが非常に遅いところからゾンビであると推測できる。


僕を召喚した国、いやこの世界そのものが魔族や魔物に征服されているのかもしれない。


自分が非常に危険なところにいる事に気がつく。


考えろ、考えろ、今何をするべきだ?敵のど真ん中にいる。死ぬ。死ぬ。死ぬ。

焦るな、考えろ。こんなゲームはいくらでもあったはず。いや、ない。こんなのクソゲーだ。


まて、きっと俺は何かチート能力を持っている。

そうだ、テンプレだ。魔法だ。


魔法の使い方など全く分からないが、超能力者が超能力を使ったり、漫画や映画で魔法使いが魔法を使うように、手や足で円を描いたり、小さく声を出して、力を入れてみるが、結果は元の世界で中学生ぐらいの時にやったのと同じであった。


これが中二病というやつか。。。


いやまだほかのテンプレがある。筋力だ。敏捷性だ。


クンフーや空手の真似ごとをしてみるが、何もいつもと変化はない。

近くにあった大きな壺を持ちあげようとしてみるが、全く動く様子はない。


考えろ、考えろ、テンプレテンプレ。。。


ステータス!メニュー!マップ!

インベントリー!ストーレッジ!


実際に声に出しつつ、システム的な何かを開こうとするがこれも中学生の時に試したのと同じ結果であった。


考えろ、考えろ。

これはテンプレではない、これはテンプレではない。

テンプレがなければテンプレを作ればいいと誰かが言っていた。それだ!


先ほどの髑髏をもう一度見上げてみた。先ほどは突然でびっくりしたが、髑髏程度CGで良く見ている。触るのは御免だが、見るぐらいならなんともないはずである。


きっとこれらの王冠を被った髑髏達は、王族だったのだろう。

なぜ、この召喚の間と思われる場所の戸に飾られたのか?

一番可能性が高いのは、俺に対する挑戦状のようなものだろう。

それかここに髑髏がある事で、俺の召喚後の能力に制限のようなものがかかるとかも考えられる。

いずれにしても、髑髏をここに晒しておく事は、被召喚者に対しての警戒の表れと解釈できる。


はっ!!!

という事は。。。まずい。。。


ここから早く離れなければ!

しかし外の景色を思い出す。どこに逃げる?

外は魔物と魔族とアンデッドだらけだ。


もう一度髑髏を見上げる。


考えろ。詰みゲーと思われる展開に入った時はどうする?


ヒントだ、ヒントを探すんだ!


そうだこの髑髏が残すヒント。つまり、召喚者のために何かを用意していたはずだ!


僕は、部屋を隅から隅まで音を立てないように探した。


そして、11枚の紙を見つける。


いずれも何が書いてあるかは全く分からない。

分かる事は、それらの紙が恐らく同じ内容を別の言語で書き直しているという事だ。

なぜ同じ内容だと思ったかと聞かれれば、箇条書きと思われる部分や書式が同じだったためだ。

恐らくこの世界で使われている全ての言語で、僕に対して何かを伝えようとしたのだろう。


ほぼ確実に、この紙が彼らの残したヒントである。

僕はヒントを見つけた!


だが意味が分からなかった。。

いや、分かったことがあるぞ。

こんなトンチンカンな準備をした彼らは召喚をするのが初めてだったという事だ。

そして僕に異次元の言葉を即座に理解するチート能力がない事も証明されてしまった。


これは詰んだか。


血の匂いは危ないかも知れないと思い、僕は先ほどの紙を使って止血した。


一応、その短剣は持っておくことにした。


こんなものあっても何にもならんだろうけど、気休め気休め。。。



戸の外から音が聞こえる。。。

ぺちゃぺちゃと嫌な音を立てながら何かが這いずるようにこちらに向かってきてる。


戸の前で音が一瞬止まった次の時。

ドガン!大きな音を立てて、皮膚という皮膚がただれ落ちた四つ足の獣が飛びかかってきた。


咄嗟に先ほどの短剣を向けるが、僕は、、、喉を。。。

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