桜と華 その2
「……私と、PTを組みませんか?」
…………。
「……は?」
「もう一度言いますわ。私と、PTを組みませんか?」
「……なんで僕と?」
分からない、華さんの考えが全く読めない。
正直自分が言うのもなんだけど、僕はあまり強くない。レベルはトッププレイヤーの3分の1しかないんだ。
「……私、殿方とPTを組んだことがないのです。今まではミストさんやヒナさん、アクエリアさん達と遊んでいたのですが、最近、皆さん忙しいようで……」
「華さん、アクエリアさんと友人だったんですか……」
「でも、最近はアクエリアに行ってしまって、なかなか話せないのですわ。……その話はいったん置きまして、サクさん、貴方とならPTが組めると思ったのです」
やはり、華さんの意図がみえない。
そう思っていると、華さんが思いもよらない発言をしてきた。
「だってサクさん、あの時、微笑んでいらっしゃいましたわよね」
そう、僕はあの悪夢のような時間の中、一瞬だけ頬を緩ませてしまったのだ。誰にも見られていないと思っていたのに、まさかよりによって華に見られていたとは思っていなかった。
「あの時、もしかしたらあなたとなら一人のプレイヤーとして、一緒に遊ぶことができるのではないかと思ったのです。だから、何度でも言いますわ。私とPTを組んでください」
華さんの瞳は、真っ直ぐに僕を見つめていた。その目には一切の曇りが無く、真剣さがうかがえた。
無理、この人には勝てないや。
「僕でよかったら」
「ありがとうございます。これからよろしくお願いしますわ」
そう言って華さんから手を差し出され、僕はその手をとったのだ。