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類稀な美貌の宰相令息と砂漠の女神の愛し子

作者: 月森香苗
掲載日:2026/05/23

勢いで書き始め、途中で設定を変更したりしたので整合性が取れてないところはメッセージでお知らせください。

 まるで絹糸を思わせる手触りの良さそうな黒髪。きらきらと煌めく宝石を思わせる澄んだ青色の目。すっと通った鼻筋に薄めの唇。きめ細やかな透き通る白い肌。

 美しい、と一目見ただけで分かるその人は全く笑顔を浮かべない堅物と名高い宰相の子息で、レスティアーナの婚約者のジェライアスである。

 伸ばしている髪の毛をひとつ括りにしている彼は、禁欲的で笑わないからこそ無駄に色気がある、とレスティアーナは判断していた。

 その証拠に、堅物と言われているのに女性人気は高く、婚約者のレスティアーナは殺意のこもった目で睨みつけられているのだから。


◇◇◇


 レスティアーナの家は南部地方の端、熱砂の国と呼ばれる国の半分以上が砂漠に覆われたサンデミオ王国と接している辺境伯家である。隣が砂漠地帯と言うことは、ノルスタイン辺境伯領も一部は砂漠地帯で、文化的にはサンデミオ王国に近い物があった。

 辺境伯領の中でも北の方に行けば次第に緑が増えていくのだが、国境に接している地域に領主邸があり、衣服などはサンデミオ王国に似た物が多かった。

 土地が土地だけに、サンデミオ王国とは良き隣人関係にあった。

 そんな地域なので、レスティアーナは陽の光を避ける為に薄布を羽織ることはあれど、屋敷の中では暑さを凌ぐ為に薄手の布を巻き付けるような格好が多かった。

 自国よりも他国の影響を受けていることがよく分かるのが服装であり、装飾品である。

 リンデルグ王国はそれなりに大きな国なこともあり、南北は辺境伯家が、東西は公爵家が国境を守る形になっていた。

 王都はやや北側にあるので、社交シーズンになると当主夫妻か、次期当主夫妻、つまりレスティアーナの兄夫婦が交代で行く事になるのだが、レスティアーナは十二歳になるまで領地から出たことはなかった。

 それが、宰相令息のジェライアスと婚約した事で毎年行く事になったのだが、少しばかり面倒だった。

 と言うのも、ノルスタイン辺境伯領は最南端にあり、冬以外は基本的に暑い土地だ。その環境に慣れていたので北部にある王都はレスティアーナにとって寒い場所だった。

 体感に合わせれば冬に着る服が適切なのだが、王都では春の終わりから秋にかけてが社交シーズンであり、レスティアーナが涼しい、寒いと言えば変な目で見られることが多かった。

 それに、眩い日差しの下で生きる為には肌の色が自然と濃くなるのだが、王都では白い肌こそが美の基準で、レスティアーナは平民のようだと馬鹿にされていた。

 地域によって肌の色が変わるのは当たり前のこと。仮にレスティアーナを馬鹿にした白い肌の令嬢がノルスタイン辺境伯領に来たならば、間違いなく真っ赤に肌が焼かれて痛い思いをするに違いないのだが、自分たちの常識こそが全ての彼女達に通じるわけがない。

 レスティアーナの社交嫌いはシーズンの為に出た最初の一年、親に言われた通りに参加したお茶会で決定づけられた。

 ただ、唯一良かったのは婚約者のジェライアスがレスティアーナの肌の色や服装に文句を言わなかったことだろうか。

 赤金の髪の毛に小麦色の肌、エメラルドのような緑色の目をしたレスティアーナをジェライアスは貶さなかった。それどころか「砂漠の女神の色ですね」と王都の令嬢たちがきっと知らない事をさらりと言った。

 国で信仰する神がいるが、南北の辺境伯領はそれぞれの地域にあった神を崇めていた。

 北部は雪の男神、南部は砂漠の女神である。

 豊穣の女神を国は信仰しているが、南北の辺境伯領に対しての恩恵は少ない。故に、異なる神を信仰することを国は認めていた。

 そもそも、雪の男神と砂漠の女神の子が豊穣の女神なので、親神を信仰することに何の問題もないのだが、その知識が不足している令嬢達は「異教徒だわ」とレスティアーナを異端者扱いした。

 流石にこれに関してはあまりにも知識が不足しているので親を通じて国王や教会に密告したのだが、全く改善される様子は無く、レスティアーナは次第に令嬢達の頭を心配するようになった。


◇◇◇


 そんなレスティアーナが十六歳になった年、そろそろジェライアスとの結婚を見据えた上で王都での人脈作りを本格的にする為、ジェライアスの家であるマルディトラ公爵家に身を寄せて学院に通う事になった。

 二年間という期間で公爵夫人から教えを受けながら、王都周辺に慣れることが目的で、レスティアーナは非常に憂鬱だった。


「学院はこれまでのお茶会以上に色々言われそう……」

「何か言われたら俺に必ず言え。どうにかする」

「はぁい」


 少人数のお茶会でボロクソに言われてきたのに、それが大人数になればどうなるかなど簡単に想像出来るだけにレスティアーナは嫌だった。

 そんな憂いをすぱっと切り捨てるのは何時だってジェライアスだった。彼は割と正直者だ。その言葉に偽りを混ぜる時は必要な時で、そうでない時は本心を口にする。

 今がそうで、嘘をつく必要がないから彼の言葉は本音で、信用できた。

 レスティアーナとジェライアスは同じ年齢なので、入学も卒業も同時にし、卒業後に結婚するのは決定事項だった。

 この婚約は王家が介入しているので、白紙撤回も解消、破棄などありえなかった。それだけ意味がある婚約なので、周りがあれこれ口出しをしても意味がないのにと思っている。

 レスティアーナは人前でこそお上品に淑女らしく振る舞うが、ジェライアスの前では実家にいる時のように気の抜いた話し方をしている。彼がそれを望んでいるし、レスティアーナも身内の前で堅苦しいのを好まなかった。


「レスティ。ところで、ドレスはどうする?」

「うーん……家で着てるドレスは駄目だよねぇ」

「俺は好きだがな」

「……むっつりめ」


 ジェライアスは堅物そうな見た目だし笑顔を浮かべないが、年相応の男性らしい所があった。いや笑顔を浮かべないのは公の場だけで、私的な場所では結構笑っている。寧ろ、レスティアーナは笑顔の彼しか知らなかったので、仏頂面のジェライアスを見た時はとても驚いたものだ。

 婚約してから年に一度はわざわざノルスタイン辺境伯領まで来てくれるのだが、その度にレスティアーナが着ている服に大変満足している様子だった。

 王都育ちでは慣れないだろう気候だろうし、白い肌を赤くしているが、彼は割とノルスタイン辺境伯領を好んでいた。


「男女問わず開放的で、俺としては堅苦しい格好から解き放たれて楽しいけどな」

「まあ、分かるよ。だけど日焼けしないもんね。火傷してるけど」

「そうなんだ。この生白い肌が嫌だ」

「仕方ないよ。環境だもん」


 隣に並んで座り、お互いの腕の肌の色を比べると、レスティアーナの方が濃い色をしている。

 こちらで暮らせば白くなるのかなぁ、と零せば「お前の肌の色がいいから白くなりそうなら定期的に家に帰ることを許すし俺も行く」なんて答えるジェライアスに笑い声をあげた。


「ドレスねぇ……寒くなければいいかなぁ」

「仕方ないこととは言え、悪いとは思っている」

「仕方ないんだよ。北の方は逆に暑い暑い言ってるじゃない?」

「あれは馬鹿だからな」


 王妃が子を孕めばそれに合わせて貴族の家は子作りをするので、王子や王女がいる年は子供が多い。

 辺境伯家もそれに合わせているのでレスティアーナと北の令息シュナウフェンは同じ歳で、親の関係で何度も顔を合わせている。シュナウフェンはジェライアス以上に白く儚い見た目をしている。

 銀の髪の毛にアイスブルーの瞳、真っ白で日焼け知らずの肌。見た目はとても儚いのに、狩猟を得意として毛皮を好み、王都に来ればレスティアーナは寒くて震えているのにシュナウフェンは「あっちー」と言いながら全裸になろうとするのだ。

 流石に全裸になる前にジェライアスが止めたけれど、この男が南に来たらどうなるんだろう、溶けるのかな、とレスティアーナが考えた回数は両手の指の数を超えていた。


「あ、でも、夏の舞踏会はサンデミオ王国の国王が参加するから、その時なら着れるな」

「こっちのドレス?ジェイも合わせてくれる?」

「もちろん。楽なんだよなぁ」

「わかる。コルセット付けないからほんっっとうに楽」

「そもそもレスティにコルセットは要らないだろ」


 マルディトラ公爵家のタウンハウスの一室。客も来ないプライベートな場所だから、と楽な格好をしているレスティアーナの体をまじまじと見るジェライアス。

 コルセットはドレスの時だけでいい、とソフトなタイプを付けているレスティアーナだが、ジェライアスが言うように腰を細く見せる為という意味では要らないのは確かだ。


「そりゃあ、動き回ってるからね。こちらのお嬢さん方みたいに優雅に座りっぱなしな生活とか無理だから」


 レスティアーナは領地にいる時は積極的に外に出てサンデミオ王国の商人とやり取りをしている。

 ノルスタイン辺境伯領の人々、特に国境付近に居を構える人は平民だろうが当たり前のように二カ国の言語を話す。子供の頃からサンデミオ王国の子供と遊ぶ中で培われた言語力だが、レスティアーナは更にサンデミオ王国内の少数部族が使う言葉も習得している。

 語学の楽しさに目覚めた彼女はそれだけで満足せず、様々な言語を片っ端から学んで身に付けている事で、政治の中枢部にいる人々はジェライアスの婚約者にどうかと話をあげたほどだ。

 レスティアーナはただの政略と思っているが、癖の強いサンデミオ王国の王族やいくつもある少数部族の族長と円滑にやり取り出来ているからこそ、彼女を奪われないように囲うことになった。

 ジェライアスの父ですら息子よりもレスティアーナの方を重要視している時点でその価値の高さはわかる。

 彼女を守る役割を与えられたのがジェライアスだ。レスティアーナが社交嫌いになったのは国の政を理解していない、気位の高さだけしか持たない令嬢のせい。

 ジェライアスはいつだってレスティアーナに追いつこうと必死なのだ。


「サウラリオ陛下が来られるならジュナの果実は手配しておいた方がいいかも」

「そうなのか?」

「うん。この前会った時、最近ハマってる果実だって言ってた。あの方、一度ハマると暫くは続くから、三年分は確保してた方がいいかも」

「分かった。レジルッド伯爵に話を通しておくよ」

「そうして。あ、あとね、北のお酒に興味があるって言ってたよ。あ、これはサウザーヴ族の族長も言ってたなぁ。シュナウフェンに頼んだら取り寄せてくれるかな」

「代わりに南の酒を求められるかも。火炎酒はサンデミオ王国でしか手に入れられないし」

「そっかー!じゃあ陛下に手紙送っておくね」


 レスティアーナはサラリと言うが、一国の王に手紙を軽い気持ちで送れるなど考えにくい。だが、それをやってのけるのがレスティアーナだ。

 ノルスタイン辺境伯の人間は大らかな性格をしている。礼節は忘れないが、駆け引きはしても後暗いことはしない。そんな性格だからあの地に封じられているし、上手くやってのけている。

 レスティアーナと会話をジェライアスは好んでいるが、世間話のように大事な情報を投げつけてくるところが刺激的で堪らない。

 見た目や家柄だけを褒められるつまらなく無益な会話よりも、気楽に話す中で溢れ出す刺激の方が余程楽しくて、だからジェライアスはレスティアーナと話している時は常に笑っていた。



◇◇◇


 学院に通うのは義務ではないが、暗殺や毒殺の心配なく同じ年頃の子供達と交流出来る貴重な場として活用されているので、余程金銭的に困難でなければ大抵の貴族は学院に通う。

 昔は男だけの寄宿舎だったらしいが、女性にも学ぶ権利を、と言う風潮が広まってからは男女関係なく門戸が開かれた。

 それは出会いにも繋がるのだが、同時に面倒事も引き寄せることになっていた。


「ジェライアス様ぁ♡ランチをご一緒しませんかぁ?」

「断る。婚約者と約束している」

「えぇ~。毎日なんてつまらなくないですかぁ?ね、あたしと一緒にランチしましょう?」


 と、下位貴族の名前も知らない女に迫られてジェライアスは苛立っていた。

 入学してひと月もしない内に、この女は多くの令息を誑かして学院の風紀を乱しに乱していた。

 男爵家の娘が公爵家の中でも宰相職を世襲しているマルディトラ公爵家のジェライアスに馴れ馴れしく接近することがおかしいのに、それが許されている、という空気なのは彼女を囲う男の中に第三王子がいるからだ。


「ジェライアス。チェリルがこう言っているし、偶にはこちらを優先しろ」

「断ります」


 第三王子が命令のように告げてもバッサリと断るのがジェライアスで、ひくりと頬を引き攣らせた第三王子が尚も言い募ろうとしたが。


「ジェイ?食堂に行かないの?」

「すまない、レスティ。待たせたか?」

「ううん。待ってはないけど……いいの?殿下のお誘い断っても」

「構わない。俺の中の優先順位が高いのはレスティだ」

「恥ずかしいことを平然と言うわね」


 レスティアーナとジェライアスはクラスが同じだが、授業科目によっては分かれることもある。今回がそうで、礼儀作法の授業を終えたレスティアーナが迎えに来てくれた事でさっさとその場を去るジェライアスを、くすくすと笑って追いかける。


「あの子すごいよね」

「何が?」

「うーん。先の見通しが出来てないこと、かな」


 歩くペースを落としたジェライアスがレスティアーナに腕を出すと、当たり前のように手をかけてエスコートを受ける。婚約者同士のこういった行動をさり気なく監視している教師達がチェックしている事をどれだけの学生が理解しているか。

 夜会やパーティーで男性が女性をエスコートするのは当たり前で、その時の見栄えもまた重要視されている。

 婚約して四年。身長の変化はあれど、エスコートする、される時の感覚はお互いに叩き込まれていた。


「婚約者のいる男性に近寄る、まではまだあるけれど、派閥を考えていないのはまずいよね。私もまだ学んでる最中だけど、リンデルグはサンデミオよりも面倒じゃない?あの子、卒業までに生きていられるのかなぁ」

「知らん。興味も無い」

「知ってる。あ、そうそう。今日のランチはシュナウフェンとローレンナもいるからね」

「分かった」


 ローレンナとはシュナウフェンの婚約者で、北の大国フォレロニア王国の辺境伯令嬢である。国境を境に隣り合わせの領地の二人は狩猟と言う共通の趣味特技から国を越えて婚約を果たした。

 レスティアーナが付き合えると思えた貴重な令嬢であり、正反対の地にいるのだが中々に話が合っていた。


「寒ささえなければ北にも興味があるけどさぁ。雪が積もってるとか想像出来ないや」

「向こうも砂漠の暑さを想像できないだろうな」

「だと思う。ジェイもだけど、皆肌が白いからうちに来たら火傷しちゃうね」


 そんな会話をしながら着いた食堂。ここには個室があり、予約をしていればそちらを使うことが可能で、ジェライアスは年間を通して一室をキープしていた。

 学院側もそれを理解している。と言うのもレスティアーナが割と重要な事を世間話のように話してしまうので、国王と宰相が隔離させないとまずいと判断したのだ。

 シュナウフェンが混ざれば大惨事である。その為、個室を貸し切っているのだけれど。


「ジェライアス様ぁ♡あたしも混ぜて下さぁい♡」


 四人でランチをしている時、突然扉が開いて入ってきた女にジェライアスの限界は超えた。


「貴様、俺の名前を許しもなく何度も呼んでいるが、誰が許可を与えた」

「え?」

「学院の方針で『教育を受ける権利は平等』とあるが、身分の平等は謳っていない。マルディトラ公爵家より貴様の家に抗議を入れる。覚悟しておけ」


 楽しい婚約者や気楽に話せる友人との癒される時間を邪魔されたジェライアスは、あっさりと限界を迎えた。元々嫌いな者に対しての限界点は低いので、レスティアーナは「あーあ、お馬鹿ちゃんだなぁ」と笑いながらも止めなかった。

 結果として、第三王子始め取り巻き一同は特別講義としてハニートラップ対策をとことん教え込まれ、ジェライアスが最後まで名前を覚えなかった男爵家の娘は学院から消えた。

 学院側も一連の事は把握していた。静観していたのではなく様々に根回しをしていた。何せ王族が絡み、婚約にも影響が出かねないので慎重にならざるを得なかった。

 しかし、学院としても有難いことに、ジェライアスが手を回した事で火種の一つはあっという間に排除された。

 彼が述べたように、学院は本格的な社交の場の縮小図で身分の差について平等だと言ったことはない。

 教育を受ける権利の平等、とは高位貴族だからと言って授業を受ける生徒の邪魔をして良いというものではない、という事だ。誰にだって同じように学びの機会を与えられている、と言うだけのもの。

 それ以外の場ではきちんと振る舞うことが求められている。

 それを容易く踏み躙る存在は不要だと言うだけのこと。


◇◇◇


 とは言え、問題が男爵家の娘一人で終わるという話ではない。

 学院で結婚相手を探すものはそれなりにいる。そして波乱の元になった男爵家の娘に惑わされなかったジェライアスを、理想的だとして望む令嬢がいない訳はなく、レスティアーナを排除して隣に立とうと望む令嬢はそれなりにいた。

 この婚約の意義を理解せず。

 レスティアーナの見目が王都貴族と異なっていることや信仰する神の違いを理由に、そういった手合いは何の疑問も抱かずにレスティアーナを排除しようと動いていた。

 王家が介入してレスティアーナの枷としてジェライアスが選ばれた事を理解せず。


「腹立たしいです」

「落ち着きなよ。可愛い顔がぐしゃぐしゃだよ、エランジェ」

「レスティアーナ様ぁ~!好きです!」


 南部地方から来ているのは何もレスティアーナだけでは無い。エランジェと呼ばれた少女は子爵家の生まれでノルスタイン辺境伯領の端に位置する領地を治めている。レスティアーナと似たような肌の色を持つ彼女もまた、王都貴族の令嬢達から下に見られていた。

 主家のご令嬢たるレスティアーナの本質を理解していない者の多さに、エランジェは何時でも苛立っていた。

 サンデミオ王国からの侵略がないのはノルスタイン辺境伯家の人柄の良さがあるからなのに、そういった事を理解しないでバカにしたり、蛮族だと平気で言う令嬢達への怒りが収まらない。

 エランジェは幼い頃からレスティアーナと交流がある親戚でもあり、いずれマルディトラ公爵家に嫁ぐレスティアーナの侍女としてつく事が決まっていた。

 そんなエランジェは生まれが下位貴族なのもあり、侍女教育の授業なども全部下位貴族用の学舎で受けていたので全てを把握している訳では無い。

 しかし、講義の一環でお茶会の給仕をしている時に悪意をもって広められるレスティアーナを蔑む発言に苛立ちが止まらなかった。

 ジェライアスが教師に呼ばれて不在の為、エランジェがレスティアーナの傍に控えていたのだけれど、つい先程の出来事に地団駄を踏んでいた。

 王都貴族らしい、白い肌に金色の髪の毛のどこぞのご令嬢が、レスティアーナに向かって「ジェライアス様との婚約を取りやめなさい」と上から目線で命じてきたのだ。

 当然だが、レスティアーナは相手にしなかった。

 この婚約に異議を唱えると言うことは国王へ弓引くことと同義だと理解しているからなのだが、相手は更に喚いた上で取り巻きに囲まれて去って行った。


「そもそもさ、あれ、誰?」

「レスティアーナ様のそういうところ好きですよぉ」


 レスティアーナは幼い頃から沢山の大人たちに囲まれていたので、何の力もない令嬢を覚えることは苦手であった。社交嫌いになったお茶会がそれを加速させ、人脈作りにも影響はあったが、必要な家の娘達とはきちんと交流出来るようにはなっていた。

 だから、名前を覚えていないと言うことはどうでも良い存在なのだな、とレスティアーナは判断していたが、エランジェはそうはいかない。

 大切なお嬢様に対する無礼を見逃す事など出来るはずもなく、その日の内にジェライアスに報告をあげた。

 ジェライアスの動きは早かった。子供の仕出かしたことは親の責任、と父に話をすれば速やかにレスティアーナに阿呆な事を言った令嬢の家に手紙を送った。


『この婚約は王家が介入しているけれど、その意味がわからないおたくの娘、何で学院に通っているの?』


 といった内容だ。

 受け取った家は当然混乱する。レスティアーナが持つ人脈は南部の国々の中心人物で、サンデミオ王国は半分が砂漠地帯だが、金鉱脈や、特にサンデミオ王国でしか取れない貴重な鉱石を有している。

 砂漠地域以外の場所は豊かな自然のあるかなり変則的な環境で、サンデミオ王国はかなり豊かな国である。

 だからこそわざわざ他国を侵略しなくとも国として成り立っている。

 そのサンデミオ王国の国王サウラリオがリンデルグ王国の中で一番気に入っているのがレスティアーナである。

 何があったのかはジェライアスも知らないのだが、何かがあった上でレスティアーナは気に入られた。その証拠が、レスティアーナの腕輪で、嵌め込まれた宝石はサンデミオ王国でしか採掘されない『ルーベンシアス』と言う不思議な色合いの宝石である。赤やオレンジが不思議に混ざり合いながら、そこに混じる緑の筋が美しい『ルーベンシアス』は滅多に他国に出ない。

 全ては王家が管理しており、誰の元にあるのかという所までを確認し、所有者一覧が作成されている。

 それだけ貴重な宝石を使った腕輪は、サウラリオ自ら「小さな我が友人」と自ら手渡した友愛の証である。

 己の婚約者の装飾品を他の男が、と思うジェライアスでも流石に外して欲しいと言えないほどの逸品をつけているのがレスティアーナである。

 そんなレスティアーナを国内に留めたい、サンデミオ王国に奪われないようにする為の婚約だと知っている令嬢の家は、当主は激怒した。

 リンデルグ王国は豊穣の女神の庇護下で飢えることのない豊かな食料事情だけれど、鉱石などにはあまり恵まれていなかった。それは砂漠の女神の管轄であった。

 元々ノルスタイン辺境伯家のお陰でサンデミオ王国とは友好的であったが、レスティアーナのお陰で更に鉱石の輸入量が増えたのだ。

 その恩恵に与っているのは高位貴族の常識である。

 ノルスタイン家は上昇志向は無いし、権力欲も無い。その割に国へもたらす利益が大きいので、足の引っ張り合いや蹴落としなどが常態の王都貴族も下手に手を出さない家だ。

 そんなレスティアーナに「ジェライアスとの婚約を取りやめろ」など見当違いも甚だしい事を言った娘を当主は許すわけにはいかなかった。

 最低でも半年の謹慎。それは夏の舞踏会への参加を禁じるものだった。学院に入学した者にとって夏の舞踏会は未成年ながら初めて公の場に出るものだ。貴族令嬢にとってはデビュタントでもあり、ここに参加するしないは大きな意味を持つ。

 その令嬢は泣き喚いたそうだが、宰相であるマルディトラ公爵から直接手紙を送られた時点で国王にも報告がなされていることは想像出来る。

 そんな中で参加させる事を当主として選べなかった。

 なお、レスティアーナはそこまで怒ってはいなかった。この令嬢に限らず、ジェライアスを狙う女性は多く、それはもう散々な目に遭ってきたのであれ位はいなせる範囲だった。

 ただ、彼女の周りが許さなかっただけで。

 直接物言いをしに来た令嬢の謹慎と休学の話を聞いて「あ~可哀想~。でも、まあ、仕方ないか」と納得するあたり、レスティアーナに繊細な心はなかった。


◇◇◇


「ティーナちゃん!お出かけしましょう!」

「お義母様……観劇ですか?」

「ええ。チケットを手に入れたのよ。だからティーナちゃん、一緒に行きましょう」


 学院が休みの日、ジェライアスとまったり話をしながら課題をこなしていた所に突撃してきたのは、ジェライアスの母。つまり公爵夫人のソラリアである。

 ソラリアは婚約の為に顔合わせをした時からレスティアーナを気に入った人で、学院に入学するにあたり本来であれば辺境伯家が有するタウンハウスで生活するレスティアーナを、花嫁修業として公爵家に引っ張ってきた人である。

「母上。普通、そこは婚約者同士で行け、と俺にチケットを譲るべきでは?」

「嫌よ。だってこの公演はわたくしも楽しみにしていたのだもの」

「なら、他の夫人を誘えばいいでは無いですか」

「嫌。ティーナちゃんとお出かけしたいの!」

「まあまあ。ジェイ、私も興味はあるからお義母様と行ってくるよ。ジェイとは、ジェイが選んだ劇に行きたいな」

「分かった。手配しておく」

「ありがと」


 課題自体は難しいものではないし、そもそも言語学でレスティアーナが苦労することはまずない。ジェライアスもレスティアーナに少しでも近付きたいと努力していたので、課題をしながら雑談をしていたに過ぎない。

 折角の休日だが、夕方からの観劇に合わせて準備ともなればこれから始めるしかない。本来ならばもっと早くに連絡があってしかるべきなのだが、ジェライアスがそれを阻止する為に外出する可能性もあるので、当日直前に襲撃するのがソラリアのやり方だったし、二人も慣れてしまった。


 レスティアーナは原色を基調としたドレスをよく着ている。肌の色や髪色に合わせた結果、淡い色合いはあまり合わないと分かっていたからだ。

 公爵家ともなればボックス席があるので、レスティアーナはジェライアスが選んでくれた華やかなオレンジ色のドレスを着る事にした。

 これが通常席ならば目立つので大人しい色を選ぶのだろうが、人目のないボックス席ならば、と遊んでみることにした。

 胸の下に切り返しがあり、そこからすとんと落ちるデザインはサンデミオ風で、堅苦しいコルセットを着けなくても済むのでレスティアーナは気に入っていた。

 着替え終わってソラリアの支度が整うまでの間、ジェライアスは「俺が行きたかった」とぶちぶち文句を言う姿が可愛らしくて、彼の頬に手を伸ばした。


「ジェイ、お義母様が私を誘って外出する意味を分かっているでしょう?」

「……分かっているよ」

「感謝しなきゃね」


 一緒に出かけたい気持ちがメインなのだが、それとは別にソラリアは周りに見せつけているのだ。レスティアーナはマルディトラ公爵家に大切にされている。夫人自ら教育を授けている、と。

 東西の公爵家は公爵家の名がある為に敬われているが、南北の辺境伯家はどちらも蛮族扱いされているところがある。

 シュナウフェンはややその気があるが、レスティアーナは狩りをすることはしないし略奪もしない。ただただ、人との交流を楽しみ商売を愛しているだけだ。


「レスティ、来週は俺と出掛けよう」

「うん。楽しみにしてるね」


 踵を浮かせて背伸びをすると、ジェライアスが腰を曲げて顔を近づけるので頬にキスをする。

 この触れ合いも最近になって許されるようになったのだ。



 劇は大変素晴らしいものであった。流行り廃りはいくらでもあり、時に戦記を主題にしたものから悲恋物、溺愛物などがあるが、昨今は穏やかな中に潜む不穏さ。起きてしまう殺人事件。それを解決する、いわゆるミステリー物が人気であった。


「犯人がまさか叔母の元恋人だなんて」

「演出が見事だったわね。一瞬の暗闇の後に立ち位置が変わっていることに気付かなかったわ」


 馬車の中でソラリアと興奮のままに感想を話し合うレスティアーナは、この舞台が実は毎回犯人や動機が変わると聞いて驚いたのだ。トリックや死ぬ人は変わらないけれど、なぜ殺したのかの犯行動機が多彩で連日通う人がいると言うのも納得の理由だった。

 偶然ソラリアの知り合いの夫人が五回目の観劇だったということで話を聞いたのだが、殺す手口は同じなのに前回犯人だった人が今回は目撃者で、アリバイも完璧で初めはわからなかったそうだが、毎回変わっていると理解してからは次は誰が犯人なのかが楽しみで仕方ないというのだ。


「登場していた人は多かったですし、もう少し期間もあるからまた行ってみたいです」

「わたくしもよ。ああん、でもジェライアスの邪魔をしたら怒られてしまうわ。次は二人で行ってちょうだい」


 手渡されたのは来週分のチケットで、こういう気配りをしてくれるからソラリアの事が大好きなのだとレスティアーナは笑った。


◇◇◇


 夏の舞踏会に向けて、学院内ではそれよりも気楽なサマーパーティーが開催される。ここである程度空気に慣れる事で実際の舞踏会に参加となる為、パートナーは重要だった。

 婚約者同士であれば当たり前ながらペアとなるのだが、学院では常に仏頂面でもとんでもない美形のジェライアスに誘いを掛ける令嬢の多いこと多いこと。

 正式な婚約者のレスティアーナなど存在しないと言わんばかりに振る舞う令嬢達に怒ったのは、もちろんジェライアスであった。レスティアーナではない。


「婚約者がいる男に対してのその行動が醜い。何度も言っているが、俺とレスティの婚約は王家が介入している。お前達は反逆者か?」


 完全に据わった目で見下ろすジェライアスに漸く彼の怒りを理解したようだけど、遅い。

 レスティアーナは深く考えないのでお任せしている。ジェライアスがこの顔でいる限りどうせこう言ったことは無くならないのだから。

 ジェライアスの怒りがレスティアーナに向かったことはないが、誰かに向けられているのを見た事は何度もある。学院に入学してからはその回数が増え、つくづく己の婚約者は魅力的なのだなぁ、と感心していた。


「俺に婚約者がいるなど周知の事実だろう」

「婚約の段階だから挿げ替えが出来ると思っているのよ」

「馬鹿か……」

「まあ、仕方ないんじゃない?親が厳しく言わなきゃ分からないんだよ」

「常識が無さすぎだろう」


 サロンでぐったりとしているジェライアスにエランジェがお茶を出す。授業が終わったのだから給仕はしなくても、というのだけれど、エランジェは「レスティアーナ様の為に日々精進なので!」と笑顔で押し切った。


「ほんと大変そうだなぁ。オレとローレは平和で良かったな」

「ええ。だけど、リンデルグ基準ならシュナも魅力的なはずなのに何故かしら」


 北部のシュナウフェンとローレンナもサロンに集まっているが、この二人は特に囲まれることはない。

 どちらも儚げな見た目で魅力的なのは間違いないのだが――。


「はい!私、知ってます!お二人が最初に友好の証にと持ってきた雪狼の毛皮。頭付きだったからですよ」


 綺麗な所作で手を挙げたエランジェの言葉にシュナウフェンとローレンナを首を傾げる。綺麗に狩りが出来た証であるし、雪狼の顔は凛々しくてさぞ気に入ってもらえると自信満々だったのだが。


「しかも、お二人が揃ってご自分で狩りをしたのだと仰ったので、皆様怖がったのです」

「えー。銀雪熊なら分かるけど、雪狼程度で?」

「二人とも見た目では狩りもしなさそうだからだと思うよ」


 レスティアーナですら、ジェライアスの美貌とは別方向で儚げなシュナウフェンを見た時は「精霊かな」と思ったものだ。実際は逞しい狩猟民族だったが。

 最初に強烈な印象を残した二人は最終的に北部に戻るので、王都貴族にとって狙う程でもないのだろう。

 その点でもジェライアスはまさに優良だからこそ諦められないのだろうが。


「ジェイは陛下から婚約の見直しと言われたら従うの?」

「は?」


 実に低い声だった。レスティアーナは、あ、流石にこれはまずかったかな、と思ったけれど、一度聞いてみたかったのだ。


「だって、もともと政略ありきでの婚約じゃない?私はジェイと仲良くなれたし好きだから見直せって言われたら嫌だけど、ジェイはどうなのかなって」

「レスティアーナ」

「ひぇ」


 普段ジェライアスはレスティアーナを愛称で呼ぶ。そんな彼が正しく名前を呼ぶ時はお叱りを受ける時だ。

 顔面に貼り付けた麗しい微笑みがどうしてか恐ろしくてたまらない。


「俺はレスティアーナに釣り合うように必死で努力して来た。仮に陛下から婚約の見直しなど言われたら……」

「い、言われたら……?」

「国を滅ぼして君を攫って二人きりの生活とか楽しそうだよね」

「ごめん!!もう二度と言わないから!」


 うわぁ、と眉を顰めて引いているシュナウフェンとローレンナはまともな感性をしているのだろう。それに対してエランジェは「そうなりますよねぇ」と同意している。

 ジェライアスから大事にされているし愛されているのはわかっていたけれど、その質量を見誤っていた。想像以上に濃密だった。

 カラッと陽気な南部気質で育ってきたレスティアーナに、じっとりと粘着的な愛情は手に余るが、悪い気はしなかった。

 ただ、二人きりの生活とか監禁を連想するので勘弁して欲しい。

 レスティアーナは二度とこの話題を口にすまいと結論を出した。とても怖かったので。

 そこからは話を何とか変えて、ジェライアスの機嫌も戻ったのでサマーパーティーのドレスの話や夏の舞踏会、北部のお酒などの話で盛り上がった。


 ジェライアスの怒りが伝わったのか、それからは特に煩く言われることもなく迎えたサマーパーティーは、学生主体で教師がチェックしながら注意事項やダンスの採点を細かくされた。

 レスティアーナは普段から公爵邸でジェライアスと共に踊っているので慣れているが、それでも少しばかり緊張したのは、レスティアーナのダンスがどちらかと言うとサンデミオ王国風に近かったせいだろうか。

 ジェライアスは努力していると自分で言うだけあり、サンデミオ王国風のステップにも慣れてくれたが、彼がレスティアーナに合わせるだけでなく、レスティアーナだってジェライアスに合わせるべきだと理解していた。

 ただ、慣れというのは恐ろしいもので、意識すればするほど上手くできない事に戸惑いが隠せなかった。

 それでも無難にやり過ごした後の疲労感は尋常ではなかった。


「コルセット嫌いだし、ステップも複雑だし……ジェイがパートナーで良かったぁ」

「俺以外をパートナーに選ぶのは許さないからな」

「えー。あ、サウラリオ陛下が誘って来たら?」

「う……無いとは、言えないな……レスティの家族とサウラリオ陛下は、例外、だ」

「ありがと!流石に私もサウラリオ陛下の誘いは断れないからさぁ」


 屋敷へ帰る途中の馬車の中。くたりと疲れ切った顔でジェライアスの肩に頭を乗せたレスティアーナは、赤のドレスを着ていた。着けているコルセットが苦しいのだろう、顔色は悪い。

 こうしたやり取りは気を紛らわせるものだと知っているから、他の男の名前が出てきても我慢している。


「王宮でならいざ知らず、学院でコルセットを緩めるのは出来ないからね」

「王宮なら……?」

「休憩室があるだろう?」


 男女が途中で密会する為にも使われる休憩室は、本来の使用用途通り休む為にも使われる。

 女性がコルセットで倒れるのは当たり前で、なのにどこまでも締め上げて細く見せようとする意味が分からない、と嘆くのはレスティアーナ。

 彼女が拒否したので控えめだが、本来はもっと締め上げるものだと知ったらどうなるのだろうか。

 屋敷に戻り、侍女に着替えさせてもらってやっと落ち着いたレスティアーナは、サマーパーティーの様子を思い返す。

 美しすぎるジェライアスを巡ってのあれやこれやは彼自身の手で排除していった。

 始まりはおそらく、男爵家の娘。男たちを籠絡し、第三王子まで毒牙に掛けたがジェライアスの怒りに触れて学院から姿を消した。

 レスティアーナに直接身を引けといった令嬢は学院を休学することになった。

 他にも幾つもの家にマルディトラ公爵家から注意喚起の手紙が送られたが、すべてレスティアーナが何もしていない間に終わっている。

 顔を見れば、にこにこと笑っていて、美しいと思う。こんな顔を外で見せないから、ほんのりとした優越感が芽生えるのだ。


「ジェイ。大好き」

「!俺もだ」


 レスティアーナからの愛の言葉を正確に受け取った際のジェライアスの微笑みは破壊力が大きすぎて、慣れたと思っていたレスティアーナが赤面するほどの威力を放っていた。

 とろりと蕩けるような眼差し。暗い車内なので分かりにくいけれどもしかしたら白い肌が頬を染めているのかもしれない。

 滴るような色気を前に、レスティアーナは己の婚約者のとんでもない威力に心を貫かれていた。


◇◇◇


 夏の舞踏会は学院生にとってデビュタントも兼ねている。

 初々しさを残す令嬢達は白のドレスを身につけ、エスコートは家族もしくは婚約者が行う。

 今年は兄夫婦が当番なのだが、娘のデビュタントともあって両親が昨年に引き続き今年も参加している。

 婚約者のジェライアスの衣装はレスティアーナと揃いで、周りとは異なっていた。

 今年は他国、それもサンデミオ王国から国王が来訪している。一部にしか知らされていない事だが、懇意にしているレスティアーナのデビュタントを見たいと望んだからである。

 それもあり、二人の衣装はリンデルグ王国とサンデミオ王国の二つを融合したようなデザインになっていた。

 基本が白であるならば形に規定はなく、胸の下で切り替えのある観劇の際にも着た型のドレスで、白蝶貝を加工して円形に薄く切り抜いた物を切り替え部の周りにくるりと並べて一周させた飾りをつけていた。

 サンデミオでは金で作られる飾りだが、デビュタントなのでできる限り白で纏めようとなり選ばれた貝は不思議な光沢を有していた。

 サンデミオではお腹を出しても問題は無い、どころか美しく引き締まったお腹を見せることが女性の美しさなのだが、流石にリンデルグでそのような事は出来ないことをレスティアーナも知っているので隠しているが、がちがちに堅いコルセットが無いだけでやはり楽である。

 髪型は他が綺麗に纏めあげて宝石などで飾り付けている中、レスティアーナは髪を下ろし、サークレットを着けていた。

 ジェライアスは白のシャツに黒のトラウザーズは他と同じだが、その上に羽織るのは黒の一枚布で、腰を幅広の布で留めている。それだけでなく、薄手の透ける布をその下に重ねており、端に金の刺繍がなされていて華やかさもあった。

 揃いの腕輪は、この日の為にジェライアスの元にサウラリオ国王陛下から贈られたのだ。レスティアーナと同じ『ルーベンシアス』が嵌め込まれた物で、レスティアーナは「お揃いだ」と喜んでいたが、ジェライアスの両親は絶句した。

 つまるところ、レスティアーナとジェライアスの二人が婚姻する事を彼の国王は望んでいるという証なのだ。


「ジェイ、とても素敵だわ」

「レスティの愛らしさを引き立てる役目を果たせそうか?」

「私が負けてるわよ」


 ぷぅ、と頬を膨らませるレスティアーナに顔を緩ませていると、二人の名を呼ぶ声に気付きそちらを見る。

 シュナウフェンがローレンナをエスコートして近付いてきた。


「わぁ!ローナ、すごく綺麗!」

「レーナも素敵!サンデミオ風も混じってて可愛い」


 すっかりと親友となったレスティアーナとローレンナは婚約者とは被らない愛称で呼び合うようになっていた。

 二人は北部特有の刺繍をふんだんに入れた衣装を着ていた。ローレンナはウエストを締めるリボンに、シュナウフェンはジャケットの前身頃全体に刺繍を入れていて、幻想的で緻密なデザインにレスティアーナの目は奪われた。


 通常であれば家の爵位が高い者は後から入場となるが、デビュタントはその逆で、家の爵位の高い者からとなる。

 女性側に合わせる慣例で、公爵家は居ないため、三名の侯爵家の令嬢の後にレスティアーナとジェライアスが入場し、シュナウフェンとローレンナはその後に続く。ローレンナは他国の令嬢だが、こちらの国に嫁ぐことは決まっている為、シュナウフェンと合わせて辺境伯家としての入場である。


 名を呼ばれてホールへと進むと、視線が一気に集まるのを感じる。美しいが笑み一つ浮かべないジェライアスと、王都ではあまり見られない褐色肌のレスティアーナの着る衣装は従来の伝統を踏襲しながらもあまりにも異なっている。

 更に続くのが北部辺境伯家のシュナウフェンとその婚約者のローレンナ。

 学院生達の中でも異質な二組は他の者たちへの注目すら全て奪い尽くしていた。

 大人は初めて公の場に姿を見せたレスティアーナに注目していた。態々サンデミオ国王が来訪までするほど気にする少女を。

 王都の周辺で褐色肌は南部から出てきた者になるが、そもそも南部の者はあまり王都に行こうとしない。気質が合わないし、気候も合わないからだ。

 赤髪となるとノルスタイン一族のものと決まっている。赤金はその中でもノルスタイン本家の色で、砂漠の女神の寵愛と言われているくらいに特別な色なのだが、豊穣の女神の信者にとっては異物になり、教会所属のものか政治に携わる者、ノルスタイン家に関わる以外の者には理解して貰えない部分がある。

 見事な赤金のうねる髪の毛を持ち、褐色肌、さらにエメラルドグリーンの目を持つレスティアーナは砂漠の女神の愛し子なのだと、理解ある者は感嘆の眼差しで見ていたし、成程、だからサウラリオ国王の目に止まったかのかと納得した。


「ねえ、ジェイ。すごく見られてる気がする」

「見られてるな。これが普通になる」

「えー面倒」


 横並びで歩きながら小声で交わされる会話。幸いにして周囲はざわめいているので二人の会話を聞き取れた者は居なかった。

 学院生が全員入場したところで、国王と王妃が椅子から立ち上がり、あと二年弱もすれば社交界に本格的に参加することになる若者へ祝福の言葉を掛ける。

 そして一組ずつ国王と王妃の前に向かうと、女の子は王妃から白い花を受け取る。

 その花は祝福であり、パートナーの手で髪の毛に飾るのが慣例であった。


「ジェライアス・マルディトラ、レスティアーナ・ノルスタイン。そなた達はこれより先、サンデミオ王国などの多くの国との架け橋となることを望まれておる。多くの困難に相見える事もあろうが、二人で乗り越えてくれ。これは余からの祝福である」


 ジェライアスとレスティアーナの番になり花を受け取るだけのはずが、それよりも前に国王から声を掛けられた。そんな話を聞いていなかったレスティアーナは驚くが、ジェライアスは直ぐにその意味を理解し胸に手を当て頭を下げた。


「国王陛下より結ばれたこの縁を大切に二人で共に国の為に邁進していきます」

「同じく、わたくしもリンデルグ王国の為に務めます」

「レスティアーナ嬢。貴方に砂漠の女神とその娘の豊穣の女神の祝福があらんことを」


 王妃からも声を掛けられ花を手渡されたレスティアーナはジェライアスの隣に戻ると美しいカーテシーをする。

 学院内でジェライアスとレスティアーナを何とかして引き離そうとする者たちへの牽制なのだと、流石のレスティアーナも理解した。

 王家が取り持った上、祝福までしたのだ。更に、豊穣の女神とは異なる砂漠の女神の信者を異端者だと言っていた者への痛烈な批判でもある。

 砂漠の女神と雪の男神の娘が豊穣の女神。親神を異端だと言われて果たして娘神は許すと思うのか、という意味が込められていた。


「緊張したぁ」

「予想外だったな」

「でも、これで大人しくなってくれるなら良いんだけど」


 ホールの端に移動した二人はまだ始まってもいないのに既に疲れていた。

 国王と王妃への挨拶の前はぎらぎらとジェライアスを狙っている者がいたのだが、その大半はすっかりと顔を青ざめさせている。

 これでなおジェライアスを狙うのだとしたら、最早個人の問題ではなく国が出て来てお家存続にまで繋がることは間違いない。

 ジェライアスはレスティアーナが手に持つ花を受け取る。八重咲きのペチュニアの花は花弁が重なり合って白色であっても華やかで美しい。サークレットの側頭部部分に掛かるように差し込めば、赤金の髪の毛をより引き立てていた。


 国王と王妃への挨拶が終わると、学院生達がホールの中央に集まりダンスを行う。本来であれば同じ歳の第三王子が婚約者候補と先に踊るはずなのだが、彼は再教育中で翌年に持ち越しとなり、全員で踊る事となっていた。


「いこうか、レスティアーナ」

「はい、ジェライアス様」


 差し出された手に手を重ね、気負いなく歩く二人は、サマーパーティーの時と変わらない。ジェライアスのリードに身を委ね、宮廷音楽家の奏でる音に合わせてステップを踏む。

 ジェライアスのリードは体幹がしっかりしているので安定していて、レスティアーナに不安を抱かせない。

 南部の音楽は軽快な物が多いが、重厚感のある優雅な音楽もまた良いものだとレスティアーナは楽しくなる。途中から少しだけ曲調が変化するのに合わせて次第にレスティアーナの動きがより大きくなり、ジェライアスはそれに合わせる。

 レスティアーナのドレスは一見すると膨らみもないが、スカート部分は幾層にも重なり、ターンをする度に広がりを見せ華やかになる。


「ああ、楽しい」


 陶酔したように笑みを浮かべるレスティアーナに、ジェライアスは心からの笑みを向ける。それはこれまで一度も公の場で見せたことの無い表情で、それを見てしまった周りの人々はまだ未成年の彼に魅了されてしまった。

 それでも終わりは来るもので、曲の終演と共に動きは止まり、向かい合わせになった二人は礼をする。

 通常ならば二曲目も許されるが、デビュタントは一曲のみと決まっている。

 ホールから移動するとここからは大人達が踊る番で、学院生達は家族と合流することになっていた。


「レスティア!」

「お父様、お母様!」

「素晴らしかったわ」

「ジェライアス君、いつもありがとうな」

「いえ、こちらこそお世話になっております」


 赤金の髪が華やかな父と赤茶の髪の毛の母はどちらもレスティアーナと同じ褐色の肌を持っている。ノルスタイン家の二人が来たすぐ後、マルディトラ公爵と夫人のソラリアが来て、場は一気に華やかになった。


「シュネリーサ様、ごきげんよう」

「ソラリア様、ご機嫌麗しく存じ上げますわ」


 夫人達は型通りの挨拶をした後、直ぐに相好を崩す。つい昨日も顔を合わせたばかりだ。幾度となく会っているのですっかりと二人は意気投合している。

 さらにシュナウフェンとローレンナ、その家族も集まり、その一帯は独特の空気が生まれていた。

 そこに現れたのは、豪奢な衣装を身に纏った二人。サンデミオ国王サウラリオと王妃ネーデラリアである。

 その場にいたもの達が一斉に頭を下げる中、サウラリオは「頭を上げよ」と命じた。


「今宵の我はレスティアーナのデビュタントを見に来たのだ。妃も同じくな」

「ええ。とても素晴らしかったわ。陛下は酷うございますのよ。わたくしが何度もレスティアーナ嬢に会いたいと頼んでいるのに一人で国境まで行くのですもの」

「仕方あるまい。レスティアーナはリンデルグの民だ。王宮に招くには手続きが必要故な」

「分かっております。何年ぶりかしら。可愛らしい女神の愛し子」

「ネーデラリア妃殿下にご挨拶申し上げます。三年ぶりにございますね」

「そんなに経っていたのね。子供が成長するのは早いわ。ふふ。ジェライアス殿も同じね」

「はい。再びお目にかかれて光栄に存じます」


 燃えるような赤い髪の毛に深い森の緑の目をした褐色肌のサウラリオとサウラリオよりも暗いが濃い赤髪に金目のネーデラリアはリンデルグ王国の国王夫妻から離れて態々レスティアーナの元に近寄る。

 呼び寄せるのではなく態々足を運ぶという行為だけでどれだけレスティアーナが二人にとって重要な存在かが証明された。


「ゲンデダルオ。そなたの娘を一曲借りるぞ」

「無茶はしないでくださいよ。全く」

「全くですわ。自由すぎて申し訳ないわね、レミレシア」

「いえ、ネーデラリア妃殿下」


 レスティアーナの父ゲンデダルオに声を掛けて許しを得るサウラリオと、母レミレシアに対して己の夫の自由さを詫びるネーデラリアの間には気安さがある。

 宰相でありマルディトラ公爵でもあるヴァージルは周囲の視線が集まっていることを理解していた。国王からは決して不興を買わないようにと言い含められている。

 サンデミオ王国は豊かな金鉱脈や鉱山を有した裕福な国だが、その本質は「略奪」である。大陸でも有数の軍事力を有し、リンデルグには友好的な態度を見せているが、それとは異なる国に対しては苛烈な姿を見せることも厭わない。

 砂漠の女神には二つの性質がある。

 一つが母神としての慈愛、そしてもう一つが残酷な殺戮である。

 砂漠は決して優しい場所ではない。寧ろ過酷でどれだけの人々の命が奪われてきたか。その砂に染み込むのは命と血である。

 砂漠の民は血族を、仲間を大事にする。一度身の内に入れたならば同胞として守る。

 レスティアーナは砂漠の女神の色を持ち産まれた子供で、サウラリオを始めとしたサンデミオ王国の者はその色を持つ者は同胞とみなしている。

 だからこそ敵対しないでいた関係から友好へと変化した。

 ノルスタイン家の者はサンデミオ王国に好かれる。国が異なれど仲間と考えているからだ。いや、実際にそうだった。

 どれだけ昔のことか。ノルスタイン家のある土地はサンデミオ王国のものであった。リンデルグ王国が興って間もない頃で、ノルスタイン家も一部族に過ぎなかった。

 そこから様々な出来事が起こり、ノルスタインの地はリンデルグ王国に組み込まれた。リンデルグの歴史書には載っていないようだが、サンデミオは忘れていない。

 ノルスタインは同胞なのだと。


「レスティアーナ。女神の愛し子。我と踊ってくれるか?」

「はい、サウラリオ陛下」


 父が許したならばその手を取らない理由はない。婚約者の許しも得ているのだから笑顔で父よりも少し年上の一国の王の手に手を重ねた。

 サウラリオがレスティアーナを見たのは彼女が一歳の時で、お忍びでやって来たノルスタインの市場を散策するゲンデダルオの腕の中にいたレスティアーナの色に驚いた。

 一国の王に対してでもゲンデダルオは敬いはするが過剰に恐れることはなく、陽気な性格でサウラリオを歓待した。

 その彼の膝の上で笑うレスティアーナの笑顔が愛しく、「小さな我が友人」となるのはすぐだった。

 外に出さないからこそ希少性を高めていた『ルーベンシアス』の嵌め込まれた腕輪の作成を命じた時、大臣達は反対したものの、実際にレスティアーナの顔を見て来いと送り出し、戻ってきた時には「最高品質の石を選別せねばならない」と意見を変えていた。

 どれだけ色合いが近くともレスティアーナほど砂漠の女神の色を忠実に体現したものは居なかった。


 サンデミオ王国の国王がホールに出た為、貴族達は一斉にホールの外に出た。

 中央に立った二人は向かい合う。

 鳴り始めた音はサンデミオ王国が好む明るく軽やかな音楽。態々この時の為に入れてくれたらしい。


「悔しいな」

「何がですか?」

「レスティアーナには我の息子と結婚してもらいたかったのに」

「ごめんなさい。私、ジェイが大好きなの」

「分かっておる。ただ悔しいだけだ」


 始まりはまだ話す余裕があるからか、サウラリオの拗ねた声での不満にレスティアーナは笑ってしまう。


「サウラリオ陛下。私ね、サンデミオも好きですよ。でもね、ジェイは宰相になる予定で出て行けないでしょ?だから私も行かないの」

「はぁ。良い。そなたは女神の愛し子。束縛は出来ぬ」

「ふふ。でもほら、外交とかになったら会いに行けますから。ね?」

「我が生きている間に必ず来い。王宮ではそなたの来訪をずっと待っている者が多い」

「ええ。あ、でも、今回で周知されたし、旅行の許可は出るかも。ジェイと遊びに行きますね」

「待っておるからな」

「はい」


 曲は次第にテンポが早くなり、それに合わせてステップも早くなる。ゆったりと大きく見せるリンデルグのダンスと異なり、サンデミオのダンスは如何に速い動きを情熱的に見せるかが求められる。ホールを縦横無尽に移動するそれに合わせられるサウラリオは年齢を感じさせない。

 体の大きなサウラリオは脚も長いので一歩が大きい。レスティアーナは持ち前の体力と慣れで乗り切り、最後の一音が鳴り響いた後、誰からともなく大きな拍手が打ち鳴らされた。


「ありがとう、レスティアーナ。そしてデビュタントおめでとう」

「ありがとうございます、サウラリオ陛下」


 サウラリオに導かれ元の場所に戻ったレスティアーナは、ジェライアスに渡される。

 それからは自由な時間で、大人達は踊ったり歓談の為に用意されたソファに移動していき、子供達もまたある程度知人達と固まったりしていた。


「お疲れ、レスティ」

「うん。でも楽しかったー!」

「すげぇな!やっぱ南部は音楽からして違うな」

「素敵だったよ、レーナ」


 シュナウフェンとローレンナも興奮した様子で、四人は揃って食事が並ぶコーナーへと向かう。ここでいくつか見繕った後、休憩の出来るスペースへ移動する話になっていた。

 レスティアーナをエスコートするジェライアスは普段よりも表情が緩んでいて、学院で共に学ぶ者たちはいやでも見せつけられた。

 ジェライアスの特別はレスティアーナなのだと。

 そして下に見ていたレスティアーナは自分たちよりも遥かに価値があるのだと大人達が認めていたのだと。



◇◇◇



 二年の学院の学院生活を終えたレスティアーナとジェライアスだが、その生活はやはり穏やかにとは行かなかった。

 彼らが二年目になり、新たに入学してきた中にはジェライアスに一目惚れした側室腹の王女がいて、二人の仲を引き裂こうとした。

 側室は王妃になりたいと狙っていた女性で、娘を利用しようとしていたが、母娘諸共破滅した。

 ジェライアスはげんなりとした表情で、王家では情報共有が出来ていないのか、と文句を言っていたが、恋をして周りの声を聞かなくなっていたそうだ。

 そもそも、わがままが酷すぎてあまり好かれても居なかったらしい。

 側室は密かに毒杯を飲まされ、側室の生家は爵位を落とされた上でそれから数年もしない内に没落した。

 王女はサウラリオ国王からの申し出でサンデミオ国内の一部族の族長の孫が娶ったが、長くは生きられなかったようだ。

 リンデルグ王国の環境に慣れている者がサンデミオ王国の苛烈な気候に適応出来ないのも無理は無い。

 レスティアーナはレスティアーナで珍しい外見やその人脈から、他国よりやって来た王子に惚れられてしまったが全く相手にしなかった。

 王都でもぎりぎりやっと慣れて来た気温なのに、それよりも寒い地域に行くつもりは無いし、信仰する神も違う。そんな場所に魅力はなかった。

 そんな波乱もありながら、どうにか卒業をする頃にはレスティアーナの交友関係も広がっていた。


 卒業して半年後、二人は盛大な式を挙げて結婚した。

 サンデミオ王国からは拳大の大きさの『ルーベンシアス』が贈られ、それはマルディトラ公爵家の家宝となった。


 ジェライアスは歳を重ねるごとにその美貌に磨きがかかり、家族以外の前では笑顔を見せない冷徹な宰相として周辺諸国にも知れ渡ったが、その隣で多くの言語を多彩に操る明るいレスティアーナ夫人のお陰で辣腕を恐れられても人として恐れられることは無かった。


「ジェイ、あなたって本当に何歳になっても綺麗だよね」

「俺はレスティの方が綺麗で可愛いと思う」

「あなたに綺麗と言われるのは納得出来ないわ」


 二人は子供が産まれ、孫が産まれてもずっと仲睦まじかったと子孫は記録を残していた。



こんなに長くなる予定はなかった。

二人が仲良し、な話を書きたかっただけなのに。

いくつかエピソード削ったりしたので番外編で書きたいなぁ。

連載形式にするか悩んでしまったけど、エタりそうで怖かった。


ノルスタイン家に遊びに行った時のジェライアスの話とか、二人でサンデミオ王国に言った時の話とか、レスティアーナの実家での一日の話とか。

侍女になったエランジェとか、シュナウフェンやローレンナとの話とかも。

思いつくままに羅列していけばもっと書けるものあったなぁ。

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― 新着の感想 ―
読み応えのあるいいお話ありがとうございます。 国やそれを取り巻く環境なんかが自然と入ってくる構成にうまいなぁと感心です。 …王家の教育係がちょっと心配になりましたがw 最後のエピソードの数々も気になり…
登場人物が皆魅力的で、とても面白かったですヽ(´▽`)/ そして、彼らのバックグラウンドの気候風土や文化背景も説得力があり、どこかの時空で生き生き存在していそうな感覚になりました(*´∀`)♪ 楽…
最初の殺意の籠った目で睨まれているっていうのはなんだったのだろう 婚約の見直しされたらどうするって話の事なんでしょうか
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