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ブラック企業での日々  作者: 黒井 新
第四章
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エピローグ

3年後


「栗田先生、このタイムカードはなんですか?」

俺が尋ねた。


「え、あれはシフトよりも、自分が勝手に早くきただけだったんで………」

栗田先生が答えた。


「いえ、ダメです。生徒とも話をしてくれていたじゃないですか? ちゃんと勤務時間に入れてください。タダ働きは絶対にダメ!」

俺がそう言うと、栗田先生はタイムカードを修正してくれた。


「あ、そうそう。今日、アルバイトの方の採用試験が入ったんですよ。」


俺がそう言うと、栗田先生が笑顔で答えた。


「そうなんですね。先生が増えるのはありがたいですね。生徒も増えてきましたし……。」



俺は自分で塾を立ち上げていた。

会社を辞めてから開業するまで時間がかかったが、再び教育業に携われることに喜びを感じていた。


開業資金は、自分の貯金や水城さんからの借金で賄った。



水城さんは、今アメリカにいる……。






俺が「年度末に辞める」と会社に伝えてから、すぐに水城さんから連絡があり2人で会って話をした。


嫌疑をかけられていた項目はすべてデマだったらしく、証拠もでっち上げだったらしい……。


水城さんと岡本さんは、ずっとM&Aの件で対立していた。M&Aを進めたい岡本さんと、自社だけで生き残っていきたい水城さん。


水城さんは、開業当初から一緒に働いてきた岡本さんなら、いずれ分かってくれると信じていた。

しかし、あのような強行策に出られたことでショックを受け、反論もせずに辞任の道を選んだということだった。




「幸いこれから生きていくだけの貯蓄はあるし、違うことにもチャレンジしてみたい時期でしたからね……」

水城さんが笑顔で言った。


「チャレンジしたいこと?」

俺が尋ねた。


「経営の勉強です。アメリカの大学に留学しようと思っているんです。元々、私は経営者としては力量不足を感じていたんです。

そんな中、今回の件が起きて自分が未熟だったと痛感させられました。」

水城さんが答えた。


水城さんは、半年後、アメリカに旅立った。










「こんにちは~。本日、採用試験を受けにきました石原です。」


「あ、ありがとうございます。お待ちしていました。責任者の黒井です。こちらへ、どうぞ。」


……

……

……


「色々とお聞かせいただき、ありがとうございました。」


「最後に、私の経営方針をお伝えさせていただきます。もし、それがご自身の考えに合わないようでしたら、辞退してもらっても構いません。」

俺がそう言うと、石原さんは大きく頷いた。


「まず、何よりもご自身の生活を最優先してください。」


石原さんは驚いた顔をした。


「教育って、どうしてもブラックになりがちなんですね。『生徒のために』って言っちゃうと、休日出勤したり残業したり何でもやってあげたくなるんです。でも、それって実は悪循環しか生まないんですよ………」







俺が目指しているのは、「ホワイトな塾」


何よりも働いている先生方を大切にしたい……

先生方にはワークライフバランスを大切にして欲しい……

きれい事と言われるかも知れない……

でも、そのきれい事がどこまで通じるのか、やり切ってみたい……






だって、教育って本当に楽しい仕事だから……














仕事のために、自分を犠牲にするなんて馬鹿げている。




本当に大切にしなければいけないのは、あなた自身のはずだから………





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