大手進学塾⑱
エリア長になって約1年が経過した。
俺は、順調に各校舎の生徒数を増やし業績を伸ばしていた。
「おはようございます、黒井さん」
「あ、おはようございます、名取さん。」
名取さんは、あの後も無事仕事を続けてくれていた。今では、後輩たちの指導を積極的に行ってくれている。
「さっき、コンビニで柏倉さんと池内さんに会いましたよ。あの2人、本当に仲が良いですね。」
名取さんが言った。
柏倉さんと池内さんは、ともに入社2年目の女性社員。同じ歳で気も合うらしく、お互いに「かっしー」、「いけちゃん」と呼びあっている。
「おはようございます、黒井さん、名取さん。」
「おはようございます、岩田さん。」
岩田さんは、長谷部さんが送りこんでくれたベテラン社員だ。入社11年目なので頼りがいがある。「困ったら、岩ちゃんに聞く」と言われるほど、長谷部さんからも信頼されていた。
最後に、柏倉さん、池内さんが出勤してきた。
俺のエリアの社員は、この5人。アルバイトの先生の協力もありながら、4校舎を運営していた。
俺は、長谷部さんのように風通しの良いチーム作りを目指していた。
「みんな、いつもより早めの出勤、ありがとう」
俺がそう言うと柏倉さんが答えた。
「いつもより…1時間以上早く起きたから、眠い……です 」
いつもののんびり口調で話す。
「聞いてくださいよ、黒井さん!! かっしーがヒドイんですよ。待ち合わせの時間に来ず、電話にも出ず、挙げ句に家まで行ったら寝てたんですよ!」
池内さんが言った。
「いやぁ……、だから………、そのお詫びにコンビニで新商品を買ってあげたじゃない。……」
柏倉さんが言った。
「ところで、今日の臨時全社会議って何なんですかね?」
名取さんが俺に尋ねた。
「俺も内容は聞いてないんですよ。」
俺は答えた。
岩田さんは、俺の言葉を聞いて何かを考えている様子だった。
「そうなんですか……、でも昔だったら本社に集まっていたから、臨時の全社会議ってなったら大変でしたよねw」
名取さんが言った。
最近は集合型ではなく、インターネットを利用したオンライン会議に変わっていた。
「確かにそうですねw」
俺がそう言うと
オンラインの全社会議が始まった。
「皆さん、おはようございます。本日は早い時間からありがとうございます。」
総務部長の米山さんが挨拶をした。
俺は、違和感を覚えた………。




