大手進学塾⑰
その後、遠藤さんは降格になり、他県の校舎に異動になった。
全社会議の後
俺は、人事部に「アンケートの捏造」の件を訴えるつもりだった。
証拠集めに奔走している中、意外なところから確証が得られた。
それは、あの松尾の保護者からだった。
遠藤さんは、生徒に対しても特定のターゲットを決めてパワハラを行っていた。
見せしめのように、毎回の授業で松尾を叱責して、自分の強さを誇示していたらしい。
松尾の保護者から本社に連絡があった。
「毎回、アンケートで子どもが不満をつけているが、何も改善されていない。あのアンケートに何の意味があるのか?」
この電話がきっかけで調査が始まり、最終的に遠藤さんの異動と降格、今まで受け取った賞金の返還が決定した。
年度途中での異動だったため、色々な対応にバタバタした。
しかし、本社から営業部長の長谷部さんが来てくれてからは、落ち着いて校舎の運営に専念できるようになった。
長谷部さんは、約2年間エリア長を兼任してくれた。
長谷部さんは、俺たちの意見や考えをよく聞いてくれて、校舎運営に関しても色々なアドバイスをしてくれた。
エリア内のミーティングも発言しやすい雰囲気になり、風通しが良くなった。
また、この2年間で、葛西さんと秋山さんが退職した。
葛西さんは、遠藤さんが異動になった年度末に退職した。遠藤さんと不倫関係にあったらしく、彼を追いかけて他県に引っ越したらしい。
秋さんは、「世界一周したいんです。」という理由で、定年まであと少しにも係わらず、会社を辞めた。
(秋さんらしいと言えば、秋さんらしいが……)
秋さんの退職とともに、架空の小学生10名も無事退会処理がされた……。
あっという間に2年が過ぎ、俺は長谷部さんの後を継いでエリア長になった。




