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ブラック企業での日々  作者: 黒井 新
第四章
59/68

大手進学塾⑬

3年後


俺はとある校舎の責任者になっていた。


この校舎は、本社から車で1時間以上かかる地域にあった。


そのため、寺内さんが担当するエリアを離れ、あのアンケート100%の遠藤さんが担当するエリアの所属になった。


寺内さんの下で積んだ経験を生かし、自分なりの校舎運営ができていた。




「お疲れ、黒井」

遠藤さんが言った。遠藤さんは、親分肌という言葉が似合う人だった。


校舎での授業を終えて、エリアの拠点校舎にみんなが集まる。


「遠藤さん、お疲れ様です。」

俺は、そう答えた。


「今日の報告は?」

遠藤さんが、そう尋ねると


「入会が1件です。これで今月の目標達成です。」

俺は、そう答えた。


校舎長になると、満足度アンケート以外に、校舎の生徒数も評価の対象になる。

毎月、入会の目標数と退会の目標数が決められており、ノルマのようになっている。


それでも、俺はノルマや営業などと感じていなかった。


生徒の幸せのため、誠心誠意尽くせば大人気校舎になる。


本気で、そう思っていた。


「おめでとう!!」

みんなから温かい拍手をもらう。


「じゃあ、次! 和真、お前のところは、どうだ?」

遠藤さんが、入社2年目の名取さんに尋ねた。


「……すみません。今日も入会無しです。」

名取さんが答えた。


すると、遠藤さんの説教が始まった。

「お前、今月の入会目標3件だろ? あと1週間で達成できるのか!?」


「すみません……、何とかします。」


(名取さん、何とかって……)


「何とかって……、具体的にどうするかを聞いているんだ!何か策はあるのか?」


その後、10分くらい遠藤さんの説教が続いた。


流石に、見かねて俺が仲裁に入った。

遠藤さんは名取さんに対して、当たりがきつい。


以前も抗議したのだが、

「あいつには期待しているから、入社2年目で校舎を任せたんだ。」

と言っていた……。




「もう良い!! 次、葛西。」


「入会2件です。今月は5件になりました。」

葛西さんが答えた。葛西さんは、女性社員。入社6年目を迎える。優秀な校舎長だ。


「流石、葛西。このままエリアを引っ張っていってくれ。」


「次、秋さん。」

秋さんと呼ばれた男性は50代だが、ノリが若くリアクションもオーバーなため、みんなから親しまれている。遠藤さんが入社当時の上司だったらしい。


「今日は入会なしですが、今月の目標は達成しています。来月の目標に向けて、生徒や保護者に電話掛けしています。」

秋さんこと、秋山さんが言った。


「流石、秋さん。先のことを見据えて行動しているから、毎月目標を達成できているんですね。」

遠藤さんが言った。


その後、1時間ほど雑談などをして、俺たちは午前1時に解放された。


帰り道に名取さんから相談を受けた。

「黒井さん、俺どうしたら良いんですかね?辞めれば、良いんですか?」


「そんなことないよ。遠藤さんも名取さんに期待しているから、熱くなるんだよ。」

軽はずみな発言だった。


「そうなんですかね……」


「そうだ、一緒に校門前でのチラシ配りに行こうよ。来週にでも。」


「……そうですね、何もしないよりは何か行動した方が良いですからね。」


名取さんは少し明るい表情になって、帰っていった。


(ん、何かこれ、前にもあったような………)






翌週、名取さんは出勤時間になっても拠点校舎に来なかった……。

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