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ブラック企業での日々  作者: 黒井 新
第四章
58/68

大手進学塾⑫

「歓迎会?」


「そう、遅くなっちゃったんだけど……、エリアのみんなで山田さん、田辺さん、黒井さんの歓迎会をしたいと思っているの。土曜日の終業後って、みんな大丈夫?」

江原さんが俺たち3人に尋ねてきた。


(そう言えば、今まで歓迎会なんて開いてもらったこと、なかったなぁ。)


「勿論です。喜んで!!」

俺が答えた。


「僕も大丈夫です。」

山田さんも答えた。


「田辺さんは、大丈夫そう? 社長もいらっしゃるらしいから、是非参加して欲しいんだけど……。」


(え、水城社長が俺たちの歓迎会に来る?)


「はい、大丈夫です。」

田辺さんが答えた。


「なぜ、社長が俺たちの歓迎会に?」

俺は江原さんに尋ねた。


「ああ、そっか。黒井さんには伝えてなかったね……。この校舎は水城社長が最初に立ち上げた校舎なの。」


(俺たちのエリアの拠点校が……、み、水城社長が立ち上げた記念すべき最初の校舎!? そんなところで働けるなんて、ちょ~光栄じゃん。)


「だから、思い入れも深いようで……。夏期講習からは、水城社長もここで授業をするの。その前にみんなとコミュニケーションをとっておきたいんじゃないかな?」


!!(゜ロ゜ノ)ノ


(水城社長と同じ教壇に立てる……、マジ?)


講習は、各長期休みの際に行われる特別講座だ。通常の月謝の他に追加で講習費をいただくため、塾としては稼ぎどきになる。





土曜日

「かんぱ~い」


拠点校舎近くの居酒屋で歓迎会が始まった。


「3人とも、我が社へようこそ。数ある企業の中から、我が社を選んでいただいて本当にありがとう。」

水城社長が瓶ビールを持ち、俺たちの空いたグラスに注いでいく。


「どうですか、我が社は?」


「本当に毎日が楽しくて、こっちが教えるだけじゃなく、生徒からもたくさんのことを学ばせてもらってます。」

山田さんが答えた。


(流石、山田さん。素敵なコメント。)


「大学生のときとは、全然違いますね。日々、成長を実感できています。皆さん、良い人たちばかりですし。」

田辺さんが答えた。


(田辺さんもやるなぁ。)


「生徒のために頑張ることが、今の自分の活力になっているので、日々成長できています。本当に毎日楽しいです。働くことがこんなに楽しく感じたのは初めてです。」


3人のコメントを聞いて、水城社長はとても嬉しそうだった。


…………

…………

…………

…………


1時間も経つとお酒が進み、ほろ酔い状態になっていた。


寺内さんは、いつもよりも笑顔が多く本当に楽しそう。酔いが回って来たようで、熱く語り出した。

「あの校舎は、社長が苦労して立ち上げた校舎なの。だから、私たちは覚悟を持って守っていかなければならないの。」


「こらこら、美佳さん。駄目だって。そんなにプレッシャーをかけちゃ……。」

社長が言った。


寺内さんは、新人の頃から社長にお世話になっているらしく、仲が良いらしい。因みに、美佳は寺内さんの下の名前だ。


「皆さん、大丈夫ですよ、今まで通り楽しく働いてください。失敗することもあるでしょうが、それは次の成長の糧になるので。」

社長が言った。


……

……

……


「じゃあ、皆さん。お気をつけて。今日はありがとうございました。」

会がお開きになり、社長はそう言うと寺内さんとともにタクシーに乗り込んだ。

2人の自宅が同じ方向のため、送っていくようだ。


「何か怪しいんだよね、あの2人……。」

江原さんが俺だけに聞こえる声で言った。


「え、怪しいって、どういうことですか?」

俺が尋ねた。


「付き合っているってこと。」


「え、でも社長は結婚されているんじゃ……?」


「そう、だから不倫ってこと。」


(不倫………、まさか………ね。)


「早く帰りましょうよ~」

酔っている細川さんが俺たちに声をかけた。


俺、江原さん、細川さん


高木さん、田辺さん、山田さん


3人ずつ2台のタクシーに乗り込み、それぞれの帰路についた。

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